Mogicはかんがえる

『自分たちの好きなように会社を作っていけばいい。
他と違ってても、普通じゃなくても、信じられることをやっていく。
信じられることって、案外と少ないものですから
そう、本当に愚直に、率直に、真摯にそれを探してきたんです』

代表取締役 山根陽一

2025.06.23

社会レベルの知能が圧縮される

コンピュータやネットが普及するにつれ、どんどん細かく情報を見られるようになりました。

わかりやすく広告の掲載を例にとりますと

以前は雑誌に広告を載せると発行部数や読者層からなんとなく見られる人が推測され、なんだか問い合わせや注文が増えたという感じでした。

これがネットになると広告の表示回数や場所、クリック数、そしてクリックしてから購入までが厳密な数字として表示されます。

場合によってはユーザーがマウスでどういう操作をしていたかまで分かります。

十分これでもすごいのに、最近は一段と知ることのできる範囲が広がってきました。

かなり遠く深くまで、ズズーっとさかのぼれる感じになっているのです。

どうやら技術の進化が観察の次元を上げるようで、まずはそこに触れている文章から引用します。

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誰も知らない生命 アセンブリ理論が明かす生命とその起源
サラ・イマリ・ウォーカー(著)、水谷 淳(訳)
https://str.toyokeizai.net/books/9784492800997/

のちに人間社会が顕微鏡や望遠鏡を発明したことで、“ものを見る”ためにさらに複雑な方法が進化した。

顕微鏡によって、それまで知られていなかったミクロの世界を見ることが可能になり、生物の細胞から素粒子に至るまでさまざまな発見がもたらされた。

望遠鏡によって、宇宙の遠方を見ることが可能となり、ほかの惑星のまわりを公転する衛星や、ほかの恒星のまわりを公転する惑星が発見された。

その意味で私たちのテクノロジーは、現実を新たな方法で見るために私たちが進化させる、いわば近くのフィルターである。

したがってできる限り広い意味で言うと、テクノロジーとは、本来存在しえないものを存在可能にする知識(時間をかけて選択された情報)、それを応用することであるといえる。

現在この惑星上で出現しつつあるテクノロジーの中でも、もっとも広く議論されているものの一つが、人工知能である。

人工知能は実体を持たない、さらには進化の流れから外れている、と論じられることも多い。

だが大規模言語モデル、コンピュータ視覚、自動化装置など、私たちが現在開発を進めているテクノロジーは、それを生み出した生物圏から切り離されてなどいない。

生命の新たな能力が、新たな基体の中で再び実現したものにほかならない。

そしてそれによって、新たなスケール、惑星規模の知的生命が出現しようとしている。

開発が進められている人工知能がもう一つの重要なピースとなるのは、十分に大規模にデータを処理することで、私たちと同じくらい時間的に深い物体を見ることができるからだ。

その意味で人工知能も、知覚のテクノロジーの一つといえる。

私たちを(社会のような)集合体として記述する膨大なデータを、個々の人間が理解して触れ合うことのできる長さとタイムスケールに圧縮する。

そうすることで、私たち自身を初めて根源的な形で、より抽象的な形で観察できるようにしてくれる。

ChatGPTを疎んじる人がいるのは、(あちこちで論じられているように)人間レベルの知能だからではなく、社会レベルの知能を人間のスケールに圧縮しているからだ。
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うまくニュアンスを伝えたくて、引用が長くなりました。

最も気になるのはこの部分

「人間レベルの知能ではなく、社会レベルの知能を人間のスケールに圧縮している」

これの意味するところは、人工知能との本質的な向き合い方は日常会話や会議の延長には“ない”ということでしょう。

つまり、1対1で会話する、数人で議論するという経験的に身についた技法では観察の次元が上がりきらないんじゃないかなと思います。

感覚的にいえば、これまで蓄積された社会まるごとと一瞬でババーっと会話するテンション(と人工知能からみれば多くのアテンションヘッドとレイヤー)が必要なんでしょう。

しかも膨大な情報を折りたたんで届けてくれるんですから、とにかく便利ですけど末おそろしい世の中になったものです。

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