少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2023.04.24
海外で旧市街のマーケットをふらふら歩いていると、見たことのない果物ばかり目について、あれこれ聞いているとやがて食べたくなり、気がつくとポイっと口に放りこんでいます。
ふんわり爽やかな香りが広がるんだなとか、ガリガリ硬くてじんわり甘いんだとか、カスタードみたく舌いっぱいに溶けるんだなあとか、普段食べている果物では味わえない感覚。
異国の旅情がなせるワザかと思っていたら、どうやら違うようでした。
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フルーツハンター
アダム・リース・ゴウルナー(著)、立石 光子(訳)
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205742.html
現代では、果物は日常生活の一部になっている。
だれでも好きなだけ食べられる。
一年じゅう店頭に並び、安価で、いつのまにか台所の調理台の上でしなびてカビだらけになっている。
果物を食べるのは義務に近い。
果物が苦手だという人も大勢いる。
たぶんそれは、果物を食べるのが、収穫してから平均して二、三週間たっているせいだろう。
グローバル経済では規格化された製品、つまり、信頼性があり、むらがなく、均質な製品が求められる。
略
ぼくが買ったリンゴは、ボルネオでも、ブラジルでも、ブタペストでも、ボストンでもまったく同じものだった。
ぼくたちが口にする果物の多くは輸送に強く、スーパーマーケットのぎらつく蛍光灯の下で十日間鮮度を保つように改良されている。
その結果が「サイボーグ果実」だ。
略
本物の果実は繊細な生もので、慎重な取り扱いを必要とする。
人間がさまざまに加工してきたとはいえ、果実は本質的に御しがたく、予測もできない。
同じ木からとれたリンゴでも風味はそれぞれ異なる。
何時に収穫されたかで品質に差が出る。
一個のオレンジでもひと房ごとに糖度が変わる。
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そういわれてみると当たり前のこと。
脱穀してつきたての新米には土の匂いがしますから。
いつも口にする果物は、いつも手に入る代わりに何かがこぼれおちています。
もう一節ほど引用を続けると
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選ばれたひと握りの果物が国際貿易を支配している一方で、この惑星は人間の手の届かない、あるいは人間に無視され、忘れられた果物であふれている。
たとえば、ピニャ・コラーダ味のマンゴー。オレンジ色のホロムイイチゴ。白いブルーベリー。青いアンズ。赤いレモン。金色のラズベリー。ピンク色をしたチェリモヤもある。
果物の多様性にはめまいがする。
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これは果物に限ったことではありません。
効率的な流通がもたらす商品化の先に、豊潤さは失われます。
もし会社だったり、働き方だったり、教育だったり、ビジネスモデルであればどうなるんだろうと考えます。
生きようとする木々や草花が果実を作り変えるように、クラクラするほど、いろんな形があっていいんじゃないかと思えてきます。