Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2022.09.05

まだ知らないコード進行

会社のイベントのために、アコーディオンのコード進行を作っています。

必要にかられて1週間前にはじめて、少しはできるようになりました。

やりながら、昔に比べてずいぶん知らないことをはじめやすくなったなあと。

ポンッとボタンで楽器を注文して、サッとネットで楽譜を探し、分からなかったら違う動画で、困ったら問い合わせて、うまくいったらアップして、誰かのコメントにつながって。

以前なら、隣町の楽器店を探して、行ってみたら定休日で、翌日行ったら欲しいものは在庫切れ、取り寄せたらちょっとイメージと違ってて、限られた楽譜を前に練習してつっかえて

という感じですから、思い立ったら吉日な時代になりました。

だからといって、新しいものを次から次へとマスターできるかといえばそうでもないのが残念なところです。

はじめる手間ひまが短縮されただけで、内なる壁が容赦なく次から次へとやってきます。

興味を持って、やりはじめて、分からなくなり、つまづいて、飽きてきて、ちょっと達成して、でも目立った成果には届かず、うまい人に失望して、イライラで忘れてしまおうと、もっともらしい言い訳をたくさん用意してから、やっぱりどうしようと気づくような。

どんなに環境がよくなっても最後はまだ知らない自分を見つけて、たどたどしくその進行をさらうしかないようです。

2022.08.29

三階層のマネジメント問題

組織をつくる時に一番ネックになるのが、三階層のマネジメント問題でしょう。

上司がいて部下がいる、これは二階層。

上司の上司がいて、上司、部下がいる、これが三階層。

自分の直属の部下なら「こうしたら?」とアドバイスしやすいのですが、自分の部下の部下ならそうはいきません。

そもそも人数が多くなってますし、階層を飛び越えての指導は長期的にみて意味がないからです。

そして、お気づきのように三階層のマネジメントはすべての対象が見えないのですから、難易度が格段にあがります。

これが組織づくりでボトルネックになってきます。

難易度が高いがゆえに、そう簡単に三階層のマネジメントをこなせる人がいないのです。

さらに三階層目のポジション自体が少ないので、実践でトレーニングできる場も限られています。

簡単な計算式を作れば、業務量が増えて組織が大きくなるスピードが三階層のマネジメント能力の育成時間を軽く追い越していくことが分かります。

その帰結として組織にどういうほころびが出るのか、正確には分かりません。

ですが、事前に組織のシミュレーションモデルをたくさん作っても損はしないし、可能性の議論ならできるものです。

2022.08.22

もっと柔らかく考えなさい

小さい頃に「カチカチ頭。考えが固い。もっと柔らかく考えなさい」と口酸っぱくいわれていました。

当時のはやり言葉だったのか、今となってはわかりませんが、固い/柔らかいのセンサーだけは残っています。

とりわけ会社というビジネスの組織は、固くて隙間のない話になりがちなので、一番手掛けやすいところ。

成功した前例を踏襲せよ、他社の戦略を調査するんだ、再現性を見つけて効率化するぞ、KPIを掲げてPDCAを高速回転で、前年比前月比で成長しつづけ、採用戦略で優秀な人材を引きつけて、アジェンダを準備して会議時間は最短に、風通しよくコミュニケーションをとり、3ヶ月ごとに部門や個人の目標をクリアすべし。

そういったことも自分たちの会社ですから、好きなように叩いて、伸ばして、こねて変えていけばいいのです。

2022.08.17

石の上にも3年目

1年目はおそるおそる、2年目は慣れてしまって大きなミス、3年目にすべて分かったつもりで停滞する。

いいか悪いかは別として、何かをスタートするとこの法則が出てきます。

最初のアルバイト、新入社員、初マネージャ、はじめての起業、新しく立ち上げたサービス。

何を隠そう、自分がそうなので戒めとして気をつけています。

石の上にも3年とはよくいったもので、3年たっても勢いがあり、持続的な成長を感じられればうまくいったんじゃないかなと思っています。

そう考えれば、3年目まではチンタラと蛇行するのも、ションボリと落ち込むのも経験の一つとして割り切ってもいいんじゃないでしょうか。

2022.08.08

カンを頼りにどこまでも

久しぶりに会った友人に「どうやって経営してるの?」と聞かれました。

起業する前は自分もどうやって経営するのか謎でしたが、今なら分かります。

「ウソみたいに聞こえるだろうけど、カンに頼るしかないね。

あれもこれもまずやる。

本に書いてあること、人に言われたこと、専門内外は関係ない。

周りを巻き込んでみる。

普段やらないこともやる。

結果がでる。

ああ、だいぶ失敗したと思う。

すぐに思いついて、またやる。

これは、少しの失敗だなと。

じゃあとスピードを上げて、再現性を考えてやってみる。

視点を変えるから、また違う失敗になる。

いろんな失敗を、あらゆる失敗で塗りつぶす。

失敗してもペースは変えず、ずっと動かしていく。

山にのぼり、谷をくだれば、霧が晴れるように問題が消えていく。

そしたらまた夢のようなテーマを追いかけて

カンを頼りにどこまでもって感じ」

と答えました。

そしてさらなる質問。

「ブログから楽しそうな雰囲気が伝わってくるけど、人を採用するって大変じゃないの?」

これはよく勘違いされるので回答が用意してあって

「大変だから、すごくシビアに考えてカッツリやってる。

ゆとりとか、ゆったりした経営は一切目指してない。

結果的にそう見えやすいけど違う。

情報の密度を高くしてるから緩急をつけないと、みんなつかれちゃう。

リラックスしてるときだけを切り取ると誤解されやすいんだ。

多くの貨物がいくつもの線路に走っていて

それらをリズムよくつなげるために、楽しんでる」

と。

「へえ、そっか、やっぱ大変なとこあるよな」と話は終わりました。

帰り道、少しホッとした自分を見つけて、そういえば果てしなく続く職業だったなと思い出しました。

2022.08.01

シンプルへといたる道

一口にデザインといっても、モノによって違うのでいつも議論が盛り上がります。

これまで手がけてきたものはポスター、ディスプレイ、アプリ、ウェブ、マグカップ、カレンダー、展示ブース、ゲーム、ムービー、ファッション、リノベとたくさんあります。

ポスターなら「パッと見で心を鷲づかみにする」ことが大事だから、外食のような濃い味付けに。

ディスプレイなら「歩く人の感覚に乗っかった景色を見せたい」から、季節感を取り入れて。

ゲームなら「エンディングに至る盛り上がりを感じてほしい」から、タメを作ってと。

中でもやはり、ウェブデザインが一番厄介かもしれません。

他の媒体と違い、いつどこからどんな利用者がくるか読みづらいためです。

ブラウザやOS、デバイスによってズレがあり、いきなり他言語から接触してくるかもしれないし、なによりトップページから順番に見てくれず、しょっちゅう商品の説明ページからダイレクトに入ってきます。

それも検索結果からきたり、ソーシャルメディア、メール、ブックマークからだったりとバラついています。

取り扱う情報によってページを遷移させた方がいいのか、スクロールだけで情報を読み込ませた方がいいのか、アニメーションさせた方がいいのか、と表現を使い分けねばなりません。

あっちも、こっちも、そっちもと方図なく考えが広がっていきます。

ですが広がりきってしまえば、あとはハラハラと散り、静かに積み重なっていくもの。

何度来ても飽きないように、視線をうまく誘導できるように、間違えても気がつけるように、質感を心地よく感じられるように、定期的にメンテナンスしやすいように、情報が増えても破綻しないように、プログラムを組み込みやすいように、地味にならず遊び心があるようにと。

複雑にからみあいながらできていくものがシンプルに見えてきたら、それは最高の瞬間になります。

2022.07.25

夏は選り好みしていい

松風の抜ける海の家でかき氷をほおばって、夜空に手持ち花火をかざしたら、夏休み気分に突入しました。

中学生でもないのに、今でも暑い夏はダラダラと好きなことだけして過ごしています。

もちろん仕事も選り好みして、好きなことしかしないようにします。

来週にはオフィスに大きくて甘いスイカが届きますから、氷水で冷やしてみんなで楽しく食べることでしょう。

次第に涼しくなり、秋口にはやる気がでてくるものです。

そしたらまたがんばったらいいのかなと。

2022.07.19

一回限りの意味のある知恵

とっちらかっていて整理しようとするとき、いろいろ考えます。

ラベルをつけてカテゴリ分けしたり、経験に従って必要なものだけに絞ったり、データをとって法則を見つけたり、進化系統のようなツリー状にまとめたり、近しい要素を取り出してメタファーで表現したり。

生活空間のように物理的な制限があればそれで事足りるのですが、人にとって無限に近しい情報なら話は違ってきます。

15世紀から始まる大航海時代はまさにそのような混沌とした状況で、新大陸からもたらされた莫大な情報は新しい着眼点となったようです。

ーーーーー
ルネサンス 情報革命の時代
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480074744/

ルネサンス期の記憶術が目指したのは、情報をいわば「トポグラフィカル」に統御することであった。つまり、個々の情報が置かれた位置・場所が、全体構造のなかでしかるべき意味を持つことで、個と全体の関係が直感的に把握可能となるようなシステムこそが、理想とされたのだ。

けれどもこのように知を固定配置しながら管理していく方法は、やがて情報の無限増大という現実に対処できなくなっていく。

むしろ発想を逆にして、世界像とは観察者が、観察できた範囲の経験から構築してゆくもの、という考えが主流となる。

あるキーワードに沿って、何万、何十万というカードを検索し、必要なもののみを抜き出し、組み合わせることによって、その都度、一回限りの、意味のある知のリンクないしは情報の束が抜き出されることになる。
ーーーーー

その場で、一回限りの意味のある知恵を取り出す。

会社を経営したり、ITサービスを作ったりする面白さは、こんな形で情報の折りたたみ方を探究できるところだったりします。

最新記事

代表インタビュー

月別アーカイブ