Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2024.04.16

面倒なことに首をつっこむ

ちょっと時間が空いた時にオフィスや誰かの部屋かに構わず、設備のメンテナンスを手伝っています。

今回始めたのは、シャワーヘッドのついた水道栓の取り替え工事。

電気工事と違って免許が必要なく気軽に着手できるのですが、水道系はなんといっても作業スペースが狭いのが難点です。

洗面台の下ドアをパッと開けて、大量のモノを取り出し、仰向けになって頭からゆっくり奥まで滑り込むとようやく水道のホースが見えてきます。

スマホのライトを頼りに温水と冷水の接続を確認し、水道管の耐久性を見定めて、水道栓を下から固定するナット周りを確認するためにパシャパシャと写真を撮ってまずは一段落。

ネットで水道栓の代替品を割り出して、細かな仕様を一つずつ突合し、最後に価格を見定めてから、交換の手順をイメージします。

ただ実際やってみると古い水道栓が思わぬ接合をしていることがあるので、予想以上に悪戦苦闘することも少なくなく。

ふう、なんでこんなことになったんだろう、と思いながらも、自分が役に立てることに時間の許す限りトライしています。

専門家に頼めば一瞬で済むことを、あれかこれかと調べてやってみる。

自分で手をいれることは、リスクを背負うことにもなります。

もし古い水道栓が錆びて取れなかったら?代替品がうまくつながらなかったら?後日水が漏れたりしたら?水漏れによる周囲に被害が広がったらどうなるんだろうと。

まったく面倒なことに首をつっこんでいると思われることでしょう。

ビジネス的にいえば、不慣れで手間のかかる仕事は専門家に頼んでカバーすべきといわれる事案です。

それはそうなんですが、でも工事だけじゃなく、仕事も経営もそう。

誰もが面倒そうと思うから、やってみる価値があるんじゃないか。

で、やってみたら、ふう、違う面倒くささがある、それが捨て難いんです。

2024.04.08

人が人を人らしく感じられる

「あなたが普段から食べているものを教えて欲しい。あなたがどんな人であるか、当ててみせよう」

これは、18世紀に生きた美食家の言葉としてよく知られています。

時は流れて、21世紀初め

今度は、似たようなことをコンピュータに尋ねられるようになりました。

「あなたが普段から使っている単語を教えて欲しい。あなたがどんな人であるか、当ててみせよう」

そうして、さらに進んで現在

「あなたが普段から使っている文章を教えて欲しい。あなたがどんな人であるか、当ててから代わりに書いてあげよう」

食べ物を生活様式の表象としてベクトル化し、食べ物と食べ物の間にある相関係数を使って人物像を割り出す手法は、単語や文章、画像にも及ぶようになりました。

一個人のユニークさが、統計というフィルタを透過して平たく写像される流れは避けようもありません。

人が人を人らしく感じられるとは何か?

その境界線はどこにあるのか?

これからの会社経営で、とても大事なテーマになってきました。

2024.04.02

レビューに未来をのせて

いろんなチームからインターン生が作ったものにレビューして欲しいという依頼がきます。

会議室に呼ばれると、彼らがひとしきりプレゼンしてからどうでしょう?と聞いてくるのがよくある流れ。

最初の1、2枚見るとフィードバックすべきことが浮かびますから、そこから残りの時間はこのまま彼らが歩いていく未来を想像しています。

例をあげるなら、こんな感じ。

与えられた課題はうまくまとめている、これなら周囲から卒なく仕事ができる人と認められるだろう、自分も一人前になった気がして一安心、だが数年後に後輩が同じようにできてるなら自分の存在意義が薄れてくる、実は誰もができる仕事じゃないかという疑問、そしてキャリアや生きがいという影がどこまでも追いかけくることに気づく。

依頼された仕事をきちんとやる、それはとても大切なことです。

その上で、一つでいいから自分のこだわりを入れてほしいと思っています。

こだわりとは、その人の性格や生きてきた道からしか生まれないもの。

誰にも気づかれず、誰かにけなされたとしても、こだわりを入れておく。

こだわりを入れつづける気概は積みに積み上がり、やがて生きていく礎に変わっていくことでしょう。

2024.03.26

鴨がくつろぐ池のほとり

そういえば、起業してからずっとマイペースでした。

のんびりしてるね、とも言われます。

右肩上がりの急成長、指数関数的な放物線、桁違いなスケールアップといった慣用句とは無縁でした。

たわいもない話で盛り上がり、美味しいスイーツを食べ、自分たちが信じられることができるならそれで十分。

そういえば、昔からの顔ぶれは変わらず、笑い声が聞こえてくるばかり。

たぶん、これからも変わらないんだと思います。

急成長を求めるなら、それを目指す会社はたくさんあります。

華麗なキャリアなら、それを実現できる職場はたくさんあります。

Mogicはといえば、鴨がくつろぐ池のほとり、ゆるやかに暮らしたい人を求めています。

2024.03.18

Integrity:インテグリティ

誠実に仕事をする。

これを英語に充てるなら、インテグリティという単語がふさわしいように思います。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3

インテグリティ(英: Integrity、中: 誠信)とは、正直さの実践と共に、高い道徳・倫理的な原則と価値観を持って一貫し、妥協なくそれらを遵守する振る舞いを指す。

英単語のインテグリティは、ラテン語の「全体または完全」を意味する形容詞 Integer から派生し、

integer (feminine integra, neuter integrum)

1.全体の, 完全な, 無傷の
2.無事, 大丈夫な, 健全性
3.派生語として英語の「整数(Integer)」
を意味する。

この文脈において、インテグリティは誠実さや一貫性などの内なる資質から派生する「全体性」を意味することになる。ゆえに、ある人にインテグリティがあるどうか、という時に、その人が自分が保持すると称する価値観と信念と原則に従って行動している場合においてのみ、その人は「インテグリティ」がある、持っている、という事が出来る。単に自分には高い道徳・価値観・信念を持っています、というだけではインテグリティがあるとは言えない。
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一言でまとめるなら、全体的な健全性。

どうにもとっつきづらい表現です。

ですから、文章からうまいこと抜粋するに「一貫して、妥協なく、信念をもって、物事を進め、周りから認められる」ということであれば、チームワークにとって欠かせない指針で間違いありません。

2024.03.11

桃始笑 (ももはじめてわらう)

梅の香が漂い、桜の蕾が膨らむころ、桃の花が咲きはじめます。

お餅を食べ、豆を撒いて、雛あられを頬張っていたら、はや卒業シーズンを過ぎていました。

まずい、この感じ。

今年もあっという間に過ぎそう。

そう焦って、残りの季節の催しを考えはじめました。

例年のごとくGW明けに屋上で作る作品の構想を広げないとなあ。

ハロウィンに間に合わせるため、まずはかぼちゃのタネを取り寄せねば。

来年のカレンダー制作と年賀アプリ開発はやめて、まったく新しいことにチャレンジしたらどうだろう。

年輪のように重ねられるものと、崖先につま先立ちしているようなもの。

いつの日かみんなが笑って楽しめるよう、まずは踏み出す足元から確かめていくばかりです。

2024.03.05

ぶっつけ本番を引き延ばす

人生は一度きり、と言われます。

一度きりなら、いつもぶっつけ本番になるでしょう。

というのも、これから起きる出来事をあらかじめ経験できませんし、どんなに似た状況を作っても結局は本番ではなく練習ですから。

そうならばと、考えます。

ぶっつけ本番でしか臨めないなら、どういう結果が多いんだろうかと。

等式であらわすなら、ざっくりこんな感じ。

ぶっつけ本番の結果 = それなりの成功 + 少なからぬ失敗

いきなりステージに立つなら、失敗は避けられません。

それでも敢えて「極力、失敗しないように」を代入してみると

ぶっつけ本番の結果 = すべて成功 + 失敗ゼロ

と導かれるので、経験的にはほぼありえません。

ですから、ぶっつけ本番という前提で考えるべきは失敗しないようにではなく、失敗そのもののグラデーションではないかと思っています。

消すことができない失敗の項ならば、その幅をどう取り扱うべきかという問題に取り組む。

ここで一つ、別の有名な話を差し込みます。

コップの水が半分ほど入っているときにどう感じるかという質問に対して、半分しかないと思うのか、半分もあると思うのかという選択があります。

それは自分で取り扱える範疇の解法です。

これをうまく応用すれば、失敗の捉え方を引き延ばすことができます。

こんなに失敗してしまったのか、まだそんなに失敗していないのか、取り返しのつかない致命的な失敗だったのか、いくばくか回復ができる失敗なのか、というふうに。

つまり自分の視点を自在に移動できさえすれば、失敗は水にこぼしたインクのように淡く広がっていける。

それもありかと信じられるのなら、少しは気負わずぶっつけ本番に挑めるのではないでしょうか。

2024.02.27

大きな失敗は育てている

起業して経営に携わっていると「これまでにどんな失敗をしてきましたか?」とよく聞かれます。

もちろん失敗談には事欠きませんから、すごく話が長くなります。

トライ&エラーばっかりですし、新しいことが多くて仕方ないんですね。

ただあんまり事例ばかりだと悪いので、大きな失敗に絞って過去に自分でまとめた分析をお伝えしています。

結果、どこかで聞いたことある知見に収束してるかもですが。

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「大きな失敗というのは、数年前にその原因があります。

数年たたないと、失敗も大きく育つことができませんから。

じゃあ、数年前の何が原因だったのか?

大抵はぐんと売上が上がったり、利用者が増えたり、評判が良くなった頃にサクッと気軽にした判断ですね。

調子がいいとみんなの気が大きくなって、知らないうちに判断がゆるくなります。

もっと上がるよね、失敗してもリカバーできそうじゃない、夢の広がる話だしという雰囲気でしょうか。

そうなるとドンッと投資したくなり、勢いでバシンとハンコを押します。

全社まとめて楽観的ですから、チェック機能は働かず、小さなリスクが積み上がります。

無論チェックが甘かったものは、いつしか確率的に不良債権になりやすい。

風向きが変われば、なおさらです。

そもそも、不良債権とは何か?

それは投資時に描いていた費用対効果をはるかに下回り、ちょっとやそっとでは身動きが取れない状態を指します。

しばらくは投下してしまった金額と時間と労力の重みに眩暈を覚えて反射的に目を背け、これも想定の範囲内だと自分自身に言い聞かせ、やがて事情が差し迫れば受け入れるしかなくなります。

ああ、大きな失敗をしてしまったんだなと。

ですから、調子のいい頃からの失敗が一番ダメージでかいんですよね」

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似たようなことは会社だけでなく、個人でも起こります。

もうお察しのように、これはつい楽しいことばかり追求してしまう自分への戒めでもあります。

丁寧に精査する、多角的にチェックする、異なる立場の意見を集める。

地味で手間暇がかかり、耳にタコができそうなフレーズばかりですが、この薄味のメッセージにこそ、ありふれた日常を続けられる滋味が豊かに含まれているように思うのです。

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