Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2021.12.27

ぼんやり過ごす長期休暇

目覚めてからすぐに「あ、そのアイデアでいこう」と思いつくことがあります。

歩いていたり、シャワーを浴びている時に浮かぶ人もいるようで、その謎を解く一つの仮説を見つけたので共有します。

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夢を見るとき脳は
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011860

NEXTUPモデルでは、夢は睡眠に依存する記憶処理の一形式と考える。

それまで手つかずだった弱い連想の発見と強化を通じて、既存の記憶から新しい知識を抽出する独自の働きをするのである。

この日変換されたばかりの新しい記憶ー重要なできごと、職場で小耳にはさんだ議論、あるいはちょっとした気がかりなどーがあると、脳は関連の薄いほかの記憶を検索しはじめる。

中略

意外性があり、創造性と洞察にあふれ、役に立つ連想を検索し、強化して、夢という形で気づきをうながす。
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日中は「こうあるべきなんだ!」という強い思い込みで判断をしていて、寝ている間に「でも、そうじゃないかもなあ」と振り返っている感じでしょうか。

案外、弱々しい気づきが大事だということです。

という前フリをしつつ、明日から年末年始の長期休暇。

例年と変わらず、ぼんやりして過ごすことになるでしょう。

2021.12.20

クロノスとカイロス

西洋には昔から「時」にまつわる二つの区分があり、クロノスとカイロスと呼ばれています。

Wikiよりちょっとわかりづらいですが引用しますと
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%8E%E3%82%B9_(%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E7%A5%9E)

時間神クロノスと、やはりギリシア神話の神カイロスという2つの言葉は、元々は「時」を表す一般名詞である。καιρός(カイロス)は「時刻」、χρόνος (クロノス)は「時間」を、それぞれ意味する。
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連続的にずっと過去から未来につながっているものをクロノス、今の一瞬を深く刻みこんでとらえるのがカイロス。

この二つの軸を応用すれば、世界は切り取りやすくなります。

1cm自体は見えるものの、1cmを細かく分割していくと無限に終わらない、数学の話。

将来のために定期預金をしながら、今日は特別なごちそうを家族で堪能するという、お楽しみの話。

達成すべき目標のKPIを設定しつつ、実際に画面を操作する人の体験(ユーザビリティ)を究めるという、ウェブサービスの話。

過去の数字から会社の業績を予想しながら、働いている人の満足感を高めるという、会社経営の話。

クロノスとカイロスという二つの概念。

このように区分されたのは、おそらくうまく両立させるのが難しいからかと推測しています。

あまりに個人の世界に没入しすぎても世界と折り合いがつかず、世界のルールばかり気にしていては個人がなくなります。

しかしながら東洋的に見れば、理解しやすいように二つに区分するから問題が生まれている可能性もあります。

ですから、そのあたり全体を踏まえて経営するときは慎重に一つずつ考えるようにしています。

2021.12.13

あちこちで転び、立ち上がる

小さいころに目一杯走って、転んで、膝をすりむいて、という経験は誰にでもあります。

次第にどのぐらいの力でやれば転ぶかが分かってくるので、そうそうはこけなくなります。

やがて成長すると物理的に転ぶことは少なくなり、今度は心理的に転ぶことが増えてきます。

試験の結果が悪かったと転び、料理したら手を切ったと転び、友だちと微妙になったと転び、スポーツが上達しなくなったと転び、お金を落としたと転び、恋人にふられて転び、アルバイト先でリーダーとしてうまくいかず転び、上司と話が合わなくて転びます。

転ぶこと自体に良いも悪いもありませんが、立ち直れないほどの大怪我は避けたいものです。

うまく転べるようになるには、つまづいてすり傷を作りながら、立ち上がってまた挑戦するしかありません。

しかし現代につまづき、再びトライする機会はそこまで多くないのです。

転ぶ前に親や学校のサポートがあり、スマホやエンタメがあり、心にすり傷をつけなくても生きていけます。

親にとっても子どもが転ぶ姿を見るのが苦痛でしょうから、障害を避けるように手配するでしょう。

または転んでもまったくサポートがなく、孤立して自分の傷を深めていくこともあります。

そんな状況ですから、あちこちで転ぶ練習をするには戦略性まで必要になってきます。

やる側がどう転びやすい環境なのか、どのぐらいの転び方の幅に収まるのか、転んでもまたトライできるレベルなのかを考えて、同時に見守る側は何を見るべきで何を見ないようにするべきなのか、どんな時にどの種類のサポートをするのかを推し量らねばなりません。

人の成長に関わる問題なので、当然会社のマネジメントも同じような課題にぶつかってきています。

きれいに組織化され、素晴らしいビジョンや計画があり、優れたシステムや能力があるだけでは継続的な発展ができなくなってきているように思います。

2021.12.06

未来を切り開く彼らのために

そもそも起業しようと思ったのは、休学していた大学院を卒業した25歳のころ。

それまでビジネスが好きではなく、ほとんどアートとか、アカデミックな場所にいたのですぐに会社を作れるとは思わず、実践で修行することにしました。

債務超過になった出版会社、設立2年目のITインフラ会社、最大手のITサービス会社で働いたら、自分の会社をどう持って行ったらいいか分かった気がしてMogicを作りました。

その頃までにはスタートアップへの出資を経験していて、ベンチャーキャピタルVCやエンジェルに知り合いがいて、多くの友人が起業していたので資金のバリエーションがあるのはわかっていました。

しかしそういう形は望みませんでした。

30歳すぎ、たった1人、自己資本、オフィスなく、前の会社から仕事はもらわず、副業で同時進行もせず、スタートします。

一番最初に起業を思いついたときの動機が「縛りやしがらみなく、自分の好きなように考えて、自らの手で一つずつ作っていきたい」でしたから、初志貫徹といえるでしょう。

いぶかしがる人や心配する声が多かったのですが、あっという間に12年が過ぎていきました。

思えば社会に出てからずっと、やりたいことをアピールし、好きなことを見つけ、楽しくやってこれました。

今になって感じるのは、最初の気持ちが大事で、貫き通すことも大事、一緒に面白がってくれる仲間も大事ということです。

最近ふとまた悩める大学生と話す機会がありました。

未来を切り開く彼らのために、何かが少しでも参考になればと思います。

2021.11.29

限りあるもの、限られるもの

コロナ禍でよく遭遇した出来事に、供給不足による価格の高騰やサービスの停止があります。

最初はマスクや消毒液がなくなり、そのうち病床が圧迫され、転職しようにも募集が少なくなりました。

最近ですとガソリン価格が上昇し、練馬の賃貸物件は空きがなくなり、中国に頼んでいたものもなかなか届かない状態です。

コロナ以前に当たり前だったものは、目に見えない「潤沢さ」に支えられていたんだなと。

時を同じくして、排出できる二酸化炭素の量に限りがあると分かり、豊富な漁業資源に支えられた日本で魚が取れなくなるなんて考えもしなかったはずです。

アフターコロナになって、あらゆるものが再び潤沢さを目指すか?と問われれば、違う気がしています。

かつての潤沢さを「限りあるもの、限られるもの」と置き換える発想が次に必要となり、その始まりがこの数年だったのではないでしょうか。

2021.11.22

デスパレートな欲求は突き進む

ショパンコンクールのドキュメンタリ番組を見ていてどうしても気になることがあって、少し調べていたら興味深い記事があったので先に引用します。

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https://ontomo-mag.com/article/interview/chopin-piano-competition01/

偉大な音楽家の演奏へのアクセスが容易になったことは、若い演奏家にとって、一般に受け入れられるため、手っ取り早くものごとを進めてしまえないかという、大きな誘惑となっているでしょう。

核心にたどりつくため、作曲家の人生や作品を幅広く探究するかわりに、すでに存在する解釈を利用しようとする。

近道を使って成功を手に入れようと考えてしまうわけです。

短期間で喝采を得ようとするこのデスパレートな欲求は、多くの若い解釈者を、平均的、予測可能、標準的なものにしてしまいます。

その演奏は個性を持たず、記憶に長く残ることも、感情に触れることもありません。

私はこれを、「受け売りの解釈(second-hand interpretation)」と呼んでいます。

真に敏感で音楽に興味があるアーティストは、他人の録音を聴くことを避け、作曲家の書いたものと、そこから生じる自分の感情、精神的な反応にインスピレーションを求めるものです。

中略

個性のうち先天的なのは、一部です。

人生経験により、誰もが個性を育むことができますが、加えて、ほかの偉大な芸術家の経験から吸収したり、本を読んだり、美術館を訪れたり、いい映画を観たりすることで、さらに発展させることができるでしょう。

多くの若者は“完璧な”演奏に忙しく、それが芸術において、あくまで肉体的な要素でしかないことを忘れています。

精神的部分に割く時間がないのです。そのため、ほかの録音を真似ることに手を出してしまうわけです……。

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何が気になっていたかというと、感性が重要なテーマでアウトプットをどう評価しえるのかということでした。

別の記事では、解釈力、構成力、想像力、表現力で総合的に評価するともありました。

そもそもショパンの楽曲のみ使って演奏を組み立てるという制限のあるテーマです。

もしここに現在の人工知能AIを投下すれば、審査員ごとの好みの分析、過去に評価された楽曲の構成、演奏方法などから最適なものを弾き出すでしょう。

それはどう評価されるのでしょうか。それを聴いてみたいかと問われれば、個人的にはあまり興味は湧きません。

慣れていないせいなのか、それとも何かが足りないと思うからなのか。

ここらへんがサービスやプロダクトをつくっていくものとして大切なところなんだと思っています。

2021.11.15

性悪説と監査ざんまい

ここ数年でさらにMogicの業務は増え、使うものが増え、やることが増えました。

それに伴って、役員の努力だけで社内をチェックするのが限界になっているんじゃないかと疑っていました。

そこで1年前から社内で何人かを集めて、リスク監査委員会をはじめました。

月1回ほど集まり、考えうるリスクを洗い出して、その対処方針を作ります。

その時ばかりは性悪説にスタンスを切り替え、万が一よこしまな気持ちが生まれてもできないようにするにはどういう仕組みがいいのかを議論します。

そうして多くのシステムやツール、業務フローで情報の管理レベルが設定され、改善されたと思っています。

しかしなぜかそれでは足りない気がして、今年は会計事務所や法律事務所などの外部から監査をしてもらうことにしました。

結果として分かったことは、大枠は抑えられているけど割合の少ないもの(費用でいえば全体の数%)に目配せが足りなくなっているということでした。

割合は少ないものの、そこで発生するリスクがどういう連鎖をするか分からないので誰かがチェックすべきでしょう。

そうして、細かな費用も組織的にチェックするフローが作られました。

みんなが楽しくやっていくには、地道なメンテナンスが欠かせないものです。

2021.11.09

オフィス・フィールドワーカー

Mogicには社内の教育を専門に行うベーシックエデュケーションという部門があります。

ベーシックという名称から分かるように、基礎体力作りを手伝っています。

新しく入ったパートやインターンから新入社員まで、ITをからめた業務や自分で考えることに不慣れな人をサポートしています。

ひとりひとり個性が違い、経歴も状況も違いますから、まずはヒアリングや参与観察、状況分析から。

そうして徐々に課題が分かってきたら、過去にうまくいったワークショップやグループワークなどを組み合わせて提供していきます。

時にはまったく新しいメソッドを開発します。

その昔にはコーヒー焙煎やお菓子づくりというグループワーク研修もありました。

ただ注意すべきは適切な関与で、あまりに一方的すぎても回数が多すぎてもダメです。

あくまでMogicというフィールドで自分らしく仕事をやれるようにたまに支えているだけなんです。

部門内の教育担当だと情が入りすぎるかもしれないし、人事部だと評価に紐付きすぎるかと考えて利害関係ない別部門にしてあります。

かれこれ2年以上、毎週ベーシックエデュケーション担当と話していますが、不思議なことに議論が尽きることはありません。

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