Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2021.01.25

ホームランと素振り

その昔にニューヨークでバリバリ活躍されている弁護士さんと話したことがあります。

数十億、数百億円の契約をどんどんまとめているような人で、颯爽としていかにもスマートな感じでした。

いろいろ話している中で、不意にシンプルな質問をしてみました。

Q:どうしたらあなたのようにビッグなディール(取引)をうまく決められるようになりますか?

いま思い出すとあまりに素朴すぎますが、彼はちょっと考えてから答えてくれました。

A:メジャーでホームラン打つ人、華々しいですよね。

彼がそこでホームランを打つためには、メジャーの試合にたくさん出ることが必要で、その前にマイナーでホームラン打ったりしないとダメですね。

さらにマイナーで試合に出るために、練習中にもホームランを打っていて、自宅でも素振りしてます。

何十万回と素振りをして、考えて、小さな結果を出して積み重ねて、いつか運がよければメジャーの試合で3割以下の確率で打てるんです。

あなたは取引の素振りをしていますか?

私は、りんごを買う時、駐車場を契約する時、すべてのタイミングで取引をトライしています。

日常生活で小さな素振りをしてます。

小さな素振りですから、結果を気にしなくてどんどんやっていきます。

そうして小さなコツをつかんで、少しずつ大きな契約をしていくんです。

つまり、ビッグなディールは小さな取引の膨大な積み重ねですから、毎日小さな駆け引きでトレーニングしてみてください。


これを聞いて、さすがだなあと思いました。

曖昧な質問に対して、要点をしぼりこみ、例をだして分かりやすく説明できること。

これも取引の中で培われた技術なんでしょう。

それ以降、何か身につけたいことがあると素振りをしてきました。

1日のうち、小さくても何度もトライできれば、忘れたころにうまくなってたりしますから。

2021.01.07

プロジェクト・ドリブン・トレーニング

Mogicは、さまざまな教育理論から少しばかり知恵を拝借して社内トレーニングを展開してきました。

最もよく使われるものがプロジェクト学習で、大きなものから小さなものまで同時にたくさん稼働しています。

プロジェクト学習とは、複数人が集まって、テーマからゴールを決めて、期間内にいろいろやりくりして成果を出し、あちこちからフィードバックを受けるというものです。

これを一度でもやると、仕事が自分のモノになるようでチームワークが自然とできてきます。

ただしプロジェクトのメンバ以外のサポート役は、かなりの技術が必要で「メンバに必ず成果を出しきらせる」ために、観察力やアドバイス力、先読み力、忍耐力が求められます。

プロジェクトが途中まで進んでメンバの心が折れていないか、意義を見失っていないか、やりきれない気持ちになっていないか。

そして、サポート役が手を出してはメンバにとって意味がないので、的確なタイミングで最適なアドバイスをしなければなりません。

意外にもサポート役のマネジメント感がすごく伸びたりします。

本当にたくさんのプロジェクトを動かしてきましたが、今まで一度も頓挫しなかったのが自分たちの誇りでもあります。

最後にジョン・デューイ著書の訳者(市村尚久)あとがきより
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経験と教育
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151271

教師が教科の指導に当たって、すでに基礎づけられた知識や方法に従うやり方より、生徒の経験のなかに教材を発見することのほうが、どんなにか困難な問題であるか、デューイは繰り返し指摘している。

同時に、その「困難な問題」を解決する実行可能な方途が示唆されているが、その論理を辿り理解することに知的努力が求められることも示唆されている。

そのような知的努力もまた、われわれ教育現場の教師に求められているのである。
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2020.12.21

ふだんは誰もこの盲点に気がつかない

どうやら人間の目には難しい構造があるようで、盲点があります。

いつも絶えず二つの目で補完し、脳で画像処理しているため、それ自身を意識することはありません。

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人体なんでそうなった?
https://www.kagakudojin.co.jp/book/b457283.html

いびつな自然のデザインとしてもっとも有名な例は、魚類から哺乳類まで全脊椎動物が持っている網膜だ。

脊椎動物の網膜の光受容細胞は後ろ向きになっている。

つまり、ワイヤ部分が光のほうに向いていて、集光器たる光受容器は光に背を向け、内側に向いているのだ。

中略

面白いことにタコやイカなどの頭足類の網膜は反転していない。

中略

ヒトの目には、語るに値するいびつなデザインがもう一つある。

網膜のちょうど真ん中にある視神経乳頭という構造だ。

視神経乳頭は、網膜の表面に位置し、光受容細胞がない小さな円を作っている。

これによって、目にはそれぞれ「盲点」ができる。ふだんは誰もこの盲点に気がつかない。
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盲点はあるのに、ないように感じている。

このメッセージはチームワークや新規事業でとても大事なチェックポイントになります。

人間は完璧ではありませんし、どんなに優れた人でも穴があります。

ただ、どうしてもプロジェクトを進めるとなるとメンバが固定されて、誰かの意見が強くなり、あたかも常に正解のように感じられることがあります。

周囲が違和感を感じたら、ちょっとでもいいので光を当ててみることにしてはどうかなと。

2020.12.14

お弁当 OBENTO

ちょうど昨年の今ごろ、研修がてらパリを歩いている時にやけに日本文化の情報に触れるなあと感じていました。

ホテルからモンマルトルの丘へ歩いていくと初音ミク ヨーロッパバージョンのポスターがあちこち貼ってあったり、戻って朝食に抹茶らしきドリンクが出てきたり。

ホテルのフロントの人とよもやま話をしていたら「チケット高いけど、いつか日本にいってみたいのよねえ。知り合いもいるし」というリップサービスも。

そこで現地に住んでいる日本人のブログを読んでみると日本文化、特に数年前からはお弁当OBENTOがすごく人気だということが分かりました。

自分の子どものお弁当を他の子が食べちゃったということもあるようです。

確かに海外だと、りんごとパンとチーズを袋にいれて以上、といったことが多いですね。

お弁当がウケる背景はいろいろあるみたいですが、個人的に一番気にしたいのはお弁当OBENTOがいかにも日本的な発想なんだろうという点でした。

この場合の日本的というのは、「狭いスペースにこれでもかと様々な意味を押し込むことができる力」と同義です。

茶室でも庭園でも、モノは少ないのにやけに意味が多く重なっている。

それを読み解いていく面白さがある。

そういうものはなかなか世界にないようで、日本人の感性として染み込んでいる気がします。

大きくて派手なものもいいと思います。

小さくて美しいものもいいと思います。

他の経営者から、巨大企業への憧れを聞くことがあります。

しかし世界で少子高齢化が進み、資源が問題になる未来に、日本的な競争優位で目指すものはそこにあるのかなあと議論したりします。

議論だけじゃなく、証明が必要ですね。

2020.12.07

調べることが便利になったから

たまに学生のつもりで、知りたいものを調べるようにしています。

最近は便利なもので本だけでなく、ネットで多少間違っていても大雑把なものを知ることができます。

本や雑誌と違って、情報の粒度に手加減がないのもいいところです。

少し前にたまたま「動物の種類」を調べていました。wikiによれば

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20世紀末の分子遺伝学の知見を踏まえると、生物は真正細菌、古細菌、真核生物の3つに分かれるが(3ドメイン説)、動物はそのうちの真核生物に属し、他に真核生物に属するものとしては植物、菌類(キノコやカビ)、原生生物が挙げられる。

なお、原生生物の一部である原生動物(ゾウリムシ、ミドリムシ、アメーバなど)は本稿で言う動物(後生動物)とは別系統であり、しかも多系統である事が判明している。
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なるほど、次は「真正細菌」について情報を見ます。同じく

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sn-グリセロール3-リン酸の脂肪酸エステルより構成される細胞膜を持つ原核生物と定義される。

古細菌ドメイン、真核生物ドメインとともに、全生物界を三分する。

真核生物と比較した場合、構造は非常に単純である。

しかしながら、はるかに多様な代謝系や栄養要求性を示し、生息環境も生物圏と考えられる全ての環境に広がっている。

その生物量は膨大である。

腸内細菌や発酵細菌、あるいは病原細菌として人との関わりも深い。
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そうか、じゃあ動物だけじゃなく、動物以外の「ウイルス」はと

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他生物の細胞を利用して自己を複製させる、極微小な感染性の構造体で、タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。

生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、小器官がないこと、自己増殖することがないことから、生物かどうかについて議論がある。

2本鎖DNAウイルス (dsDNA)
1本鎖DNAウイルス (ssDNA)
2本鎖RNAウイルス (dsRNA)
1本鎖+鎖RNAウイルス ((+)ssRNA)
1本鎖-鎖RNAウイルス ((−)ssRNA)
1本鎖RNA逆転写ウイルス (ssRNA-RT)
2本鎖DNA逆転写ウイルス (dsDNA-RT)
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続けていくとキリがないのですが、キリがないのがまた良いものです。

日頃、自分のやっていることがほんの少しのことだと感じられます。

逆の見方をすれば、ほんの少しということは大変貴重なものでもあるので、どうやっても楽しむしかないなと思う、今日このごろです。

2020.12.01

未来で外部性を引き起こすもの

外部性という難しい単語からスタートしてみました。

経済用語でWikiによれば

「外部性(がいぶせい、英: Externality)は、ある経済主体の意思決定(行為・経済活動)が他の経済主体の意思決定に影響を及ぼすことをいう。一般に経済学では、ある経済主体の意思決定は他の経済主体の意思決定に影響を及ぼさないと仮定するが、現実には他の経済主体の影響を無視できない場合がある。そこで、そのような場合に対処するために考案された概念が外部性である。」

となります。

すごく当たり前のことを難しくいっているのですが、単純にいうと「誰かが何かしたら、思わぬ形で誰かが影響受けたりすることもあるでしょ。そのすべてをまとめて見てみよう」です。

山で木を切りすぎて、土砂が流れ出し、少しずつ栄養分が少なくなって、河口のプランクトンが減り、魚がとれなくなったりすることだったりします。木こりの利害だけで進めると、漁師に思わぬ影響が出ます。

ビジネスにおいて、今の外部性より、いつか起こる外部性の可能性に目を向けることはとても大切だと思っています。

ちょうど未来で生まれる外部性を示唆するものがあったので引用します。

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エクストリーム経済
https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/13405

これから向かう未来のなかでも、確実にそうなることがわかっている代表的な例は都市化だ。

1950年代には、世界人口の70%以上が農村部に住んでいた。

経済学で考察する問題は、大半の人にとって農村部の問題だった。

その後、長い年月をかけて人が移動した結果、街や都市は大きくなり、縮小した。

2007年は、世界の都市人口が初めて農村部の人口を上回った、特筆すべき年だった。

中略

2050年には1世紀前のパターンが逆転し、70パーセントの人が都市部に住むようになる。

かつてアルフレッド・マーシャルが論じた集積の経済が、さらに力を持つことになるだろう。

中略

次の10年間で最も重要な動向は、高齢化、テクノロジー、不平等だ。

この3つは世界に共通する動向で、すでに大きな懸念を引き起こしており、今後も強まっていく可能性が高い。
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いずれにおいても新しい教育の重要性が高まると感じています。

未来のことはまだ分かりませんが、新しく生まれてくるものを真摯に学んでいきたいと思います。

2020.11.10

会社にまつわる直感

フィットネスやワークアウトをして、体組成計で細かくデータをとることは一般的になりました。

全体の体脂肪だけでなく、右腕や左脚など個々の数値の変動が分かるので、次のプランを立てやすくなります。

たとえ体重は減らなくても、筋肉量が増えて脂肪量が減ったりすることが分かれば、長期的な体調管理に役立ちます。

会社も体と同じように細かくデータを取り、分析することができます。

試算表、決算資料(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)といったものから、ビジネスや部門ごとの特徴にあわせて設定されるKPI、レバレッジの掛け方に関係する資本効率やバーンレート、企業価値に関するバリュエーションまで。

数多くありますので、好きに選んで組み合わせられます。組み合わせた指標をベンチマークに、会社の体調を管理することができます。

しかし、会社を人と同じような視点で見ていくのには限界があります。

理由は簡単で、人は一定の大きさにしか成長しないのに対し、会社はどんどん大きくなってしまう可能性があるからです。

働く人が1人の時、10人の時、30人の時、100人の時、1000人の時、それぞれで全く違う視点で違うデータの組み合わせが必要です。

またはクライアント数が1社、10社、100社、1000社・・・の時も同様です。

前と同じような指標、スタンスでやっていて気がついたらおかしなことになってたというのはよくあります。

ではどうするか?となって、やはり自分たちの手で自分たちの心地よい場所を保ち続けたいので、会社の運営手法を不連続に切り替えていく必要があります。

アイデアを試せたり、お互いを信頼して議論できる環境をキープするために、制度やシステム、コミュニケーション方法をごそっと入れ替えていく。

このあたりの設計やタイミングは、連続的に見える数値指標からは作れないので、直感に従うしかなさそうです。

2020.10.06

オリオン座のぼんやりとした光のかたまり

あるものが発明される前と後では、同じ景色でもまったく違うように見えることがあります。

望遠鏡が発明されるまで夜空は無数のきらめく星々と信じられていて、望遠鏡でのぞくと星にはデコボコがあり、輪があることも分かりました。

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ハッブル望遠鏡がみた宇宙
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/sp/hubble2/

天文学者は宇宙の複雑な仕組みを解き明かそうと、過去数千年にわたり観察を続けてきた。

そのほとんどは肉眼によるものだ。

こうした状況を根底から変える画期的な道具、すなわち望遠鏡が17世紀初頭に発明された。

ガリレオをはじめとする人々は、望遠鏡は対象物の拡大以外にもすぐれた働きをすることに気がついた。

暗い対象物がより明るく見え(集光力の向上)、不明瞭な景色がはっきり見える(解像力の向上)。

具体的に目に見えるものがいかに説得力を持つか、ガリレオはよく分かっていた。

天の川が個々の星に分解でき、オリオン座のぼんやりとした光のかたまりやプレアデスが実は星の集まりだということが明らかになった。

かなり暗い星々が密集していたため、肉眼では見分けられなかったのだ。
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ぼんやりとしか見えなかったものが、はっきり見えるようになることのインパクトは大きいものです。

ただ、はっきり見えたものがどのような「意味」を持つのかを解読するにはまた多くの時間がかかります。

ITの力の一つは、いままで流通することのなかった個人の活動データが流れ、社会生活の解像度が上昇していることにあります。

あいまいだった活動が、データとしてくっきり見えているのです。

しかし、このデータがいったい何の意味を持っているのか、本質的には分かっていないことが多く、それを読み解くにはまた違う視点や理論が必要になるのでしょう。

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