少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2023.08.28
eラーニングLearnOのロゴは、カタツムリをモチーフにしています。
ゆっくり着実に進む、ちょっと愛くるしいといったイメージが新しいオンライン学習システムとマッチしそうで採用されました。
今回10周年のリブランディングで、ロゴを少し立体的にして奥行きをつけて作り直しています。
よく見ればわかるぐらいですが、そこには秘めた大事な想いがあります。
偶然にもカタツムリの研究史に近しいニュアンスがあったので引用します。
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歌うカタツムリ
千葉 聡(著)
https://www.iwanami.co.jp/book/b628057.html
歴史とカタツムリはよく似ている。
どちらも繰り返す、そして螺旋を描く。
それが悲劇か喜劇かはともかく、歴史が繰り返される点でローマの歴史家とマルクスの意見は一致していたし、ヘーゲルとフランシス・ベーコンとノストラダムスの共通点は、彼らに歴史が螺旋階段に見えることだった。
一方、成長するカタツムリの殻は、未来の自分の頭がいる位置ーー文字通り目と鼻の先の場所までたどり着くのに、今使っている貝殻の上に炭酸カルシウムの貝殻を新しく付け足しながら一回転、一度はるばる後ろ側を回ってから戻ってくる。
これを幾度も繰り返して螺旋形の貝になる。
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ぐるっとはるかに遠回りして一つ上の自分にたどりつくというメッセージは、真摯に学ぶものにとって、とても希望が持てるものだと思っています。
2023.08.21
今日はじめて定年で迎えた人を見送りました。
かれこれ10年ほど、一緒に働いてきました。
あんな時ありました、こんな事しましたねといいはじめると、尽きることはありません。
とても慕われた人だったので、みんなが自然と集まって、たくさんの贈り物を抱えた小さな後ろ姿に頬を拭い、雨よけのついた自転車でゆるやかな坂を勢いよく登りおえるまで手を振っていました。
「仕事というより遊びにきてる感じでした」
「孫の歳ほど離れた人たちと友だちになれたんです」
「入社してSwitchでゲームしはじめて、姉にも教えましたから」
屈託なく笑う横顔を忘れることはありません。
会社をはじめて良かったなと思うのは、知らない人と人が出会い、思い出が一つまた一つと丹念に紡がれたときです。
今日の感謝の気持ちを織りこんで、また新しい人たちと歩んでいきます。
2023.08.17
お盆に会った知人が「いまだに会社で目標たててないんですか」と苦笑していたので、今一度考えてみることにしました。
たしかに創業してから一度も会社全体の目標、部門ごとの目標をたてたことがありません。
理由は簡単です。
今日をがんばる、明日はよく分からない、昨日は昨日、というポリシーだったから。
ざっくばらんにいってしまえば、組織の目標はたてるのも確認するのも大変なんです。
まず、組織の現状を把握する。
次に、たどりつきたい組織の未来像を考える。
おおまかに、未来像と現状の差分をとってみる。
差分のうち、実現可能なものだけ抜き出す。
そうして、実現可能なものを決められた期間でブツ切りにする。
念のため、組織同士の目標に連動性があるか確認する。
仕上げに、切り取られた実現可能性をきちんと文章化する。
一晩おいて、とある部門の責任者に文章を見せる。
当然ながら、ストレッチした目標だから少し嫌な顔をされる。
笑いながら、がんばっていこうよと伝える。
というのを、全部門の責任者に行っていく。
それぞれ責任者は、所属するメンバーに伝えていく。
ところが、どこかでズレるか、理解が及ばないところがでてくる。
防ぐために、定期的に全体集会を開いて、同じことをいう。
そうこうして、数ヶ月がすぎて、また目標を立てないといけない。
そういえば、今の目標に対して達成度を精査しないといけない。
誰しも、達成度の解釈に違いがあるから是正しないといけない。
だったら、模範的な人を表彰して手本にしてしまおう。
ならば、目標の作り方をフォーマット化してしまおう。
しばらくして、うっかり新事業を思いつき、目標半ばで方針転換する。
せっかくやってたのにと、責任者もメンバーも落胆する。
そうはいっても、全社マインドで考えてよ、と責任者を集めて合宿する。
すると、顔の見える意見に忖度し、すべてを掬うように取り繕う。
さて、手間暇かけた目標だけど輝いてみえるかな、と不安がよぎる。
というのをくりかえす。
いつしか、目標制度をやめることが怖くなる。
となるかもなので、組織の目標をたてていません。
まあ、もっと正直にいえば、ずっと昔から目標をたてることも、達成することも好きじゃなかったのですが。
2023.08.07
eラーニングシステムLearnOのリブランディング・プロジェクトは、まもなく終わりを迎えます。
コロナ禍前の2020年にはじめて、かれこれ3年が経ちました。
これを長いとみるのか、短いとみるのか。
僕らとしてはちょうどいいリズムだったかなと感じています。
しっかり話し合って、きっちり作り込んで、細かなテストを重ねていく。
作業量だけみても、当たり前のようにたくさんの時間がかかります。
そして、なによりチームがもう一つ上のレベルまで熟成される時間が必要でした。
これについて機械学習絡みで適した表現を見つけたので、引用します。
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博士が解いた人付き合いの「トリセツ」
カミラ・パン(著)、藤崎 百合(訳)
https://bunkyosha.com/books/9784866516493
進めそうな経路は常にいくつもあるので、どれが目標まで最短経路なのかよくわからなくても仕方ない。
幸いなことに、ここでも機械学習が役に立つ。
略
この問題に答えるために機械学習では「勾配降下法」と呼ばれるアルゴリズムが用いられる。
これは、あるプロセスを最適化し、そのコスト関数(誤差)を最小化しようとする時に使用される方法だ。
略
勾配降下法は実験的に経路を見極めることを教えてくれる。
その方法は、試行錯誤すること、絶えず環境を評価し直して変化に対応すること、そして引き返すのを恐れないことだ。
そして最後の大切な教訓は、歩を進める方向ではなく、その長さに関するものだ。
これは「学習速度」と呼ばれる問題である。
最高の精度で結果を得るには、それ相応にステップを短くして、少しずつ前進し、ゆっくりと知見を積み重ねるようなアルゴリズムにする必要がある。
一方、学習速度を速くすれば、谷底まで到着するのは早いのだが、ステップの精度が粗いので最下点を単純に踏み越えてしまう可能性がある。
つまり、学習速度を微調整して最良の結果をできるだけ早く得ること、勾配降下法の最大の課題のひとつなのだ。
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ITサービスの黎明期、誰もがスピードを追い求めていました。
正確にいえばタイミングが良かったので、スピードを上げればクオリティはさておいても時代に間に合ったからです。
ところが今や、どこを見渡してもすっかり成熟した景色になりました。
おそらく、スピードだけではどうにもならない世界へシフトしたんだろうなと思っています。
その認識が正しいとして答えを出すのならば、僕らはひたすらチームの成熟を待つということだったのです。
【LearnO誕生からリブランディングの裏側】
https://prtimes.jp/story/detail/9B50qPSmqlb