少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2024.10.30
季節柄なのか、元インターン生、社会人のOBOGからよく相談を受けます。
「配属が決まったのですが、希望した部署じゃなくて」
「将来のキャリアを考えると、何かが足りないんです」
「海外で働きつづけるため、リファレンスをいただきたく」
「いくつか転職して、今はどう進めばいいか分かりません」
「上司が気分屋で、ハードな目標設定がつらいんです」
「朝から晩まで働いて、通勤して、何も考えられません」
「暇な時間が結構あって、それが辛いです」
うん、うん、そうなんだと時間の許すかぎり、彼らの訴えを聞いています。
ずっと抱えてきたモヤモヤを粗くとも言葉にできれば少しは晴れ間が見えるでしょうし、荒ぶって横なぐりの気持ちは話すにつれ小降りになるでしょうから。
なので、アドバイスは最小限、求められたときだけ。
話が途切れたら、一つまた一つと質問を重ねるだけ。
彼らがふっと口にしたこと、それを五目のように並べていく。
たまに、どうにも、どうやっても筋を通すには無理ごとが見つかる。
その話とこの話がぶつかってて、埒あかないよねという場所。
「あぁー、、、あー、、そうか、、そうかな、、、そうかもです」
というように、どこかに鍵穴が見つかれば何より。
僕らができるのはそこまで。
あとは彼らの底力に期待するばかりです、ガチャリ。
2024.10.22
経営ってなんだろうなと時々分からなくなるので、あれこれ考える時間を作ります。
今日は「仕事の種類と量」という制約に絞って捉えなおすことにしました。
まずは、簡単な条件を設定してみます。
Q1:1種類の仕事を1人で1日以内にやるとして、できるかできないか?
「うん、慣れれば、そこそこできそう」
続いて
Q2:5種類の仕事を1人で1日以内にやるとしたら?
「頭を切り替えといけないしな、できるかな、、、ちょっと怪しいけど」
と、そんな感じで条件を重ねて増やしていきます。
Q3:5種類の仕事を、経験が同じ5人で1日以内にやるなら?
Q4:5種類の仕事を、経験の異なる10人で1日以内にやるなら?
Q5:5種類の仕事を、経験の異なる10人が入れ替わりながら、10日以内にやるなら?
Q6:5種類の仕事は順番があり、最初に3種類がすべて終わらないと次の2種類に着手してはならず、最初の3種類ができる人は3人に限られ、残る7種類は10人全員ができるとして、入れ替わりながら10日に分けてやるなら?
とても複雑ですね。
こんなに複雑にしたくないのですが、ああ無情、現実の仕事は知らぬ間に入りくんでしまうのです。
しかし、そうは言ってもてんてこ舞いになるわけにはいきませんから、もう少し知恵を絞ります。
Q7:Q1が簡単なのに、Q6が複雑そうに感じるのはなぜか?
「そりゃ、どれより判断する分岐点が多くて、時間がからんで失敗したらやりなおせないからでしょ」
という回答がありえるとして、対策を考えてみると
「できるだけ時間にまつわる制約を緩め、分岐を少なくしたら」
となってきます。
なるほど、じゃあと、Q6を簡素化してみます。
Q6':3種類の仕事を3人で3日以内にやります。残り7人は同時に横で見て学びます。もし3日以内にできそうにないペースなら2日目、3日目にほか7人がサポートに入ります。4日目からはサポートに入った7人がメインで作業し、最初の3人はサポートとして待機するなら?
これがいい答えかどうかは分かりません。そもそも
Q8:Q6のような複雑な仕事で成し遂げられる結果は見合うものか?
Q9:Q6で仕上がったもののクオリティはどこで担保されるのか?
Q10:本当は10人じゃなくて、3人でもできる方法があるんじゃない?
と問いかける必要があります。
なんとなく、こうやっていろいろ考えたりするのが経営かなあと。
つまり、時間が経つほどに積み上がる前提条件を取り出し、複雑でリスクの高い仕事群に作用し、できるだけシンプルなテーマとして映しだすこと。
まあ、もっともらしく、こんなに長く論理を展開してしまったのは、以下のパズル問題で前提条件があまりに長すぎてもう少し短くならないのかなと感じたからなのです。
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ガードナーの数学パズル・ゲーム
マーティン・ガードナー(著)、 岩沢 宏和(監訳)、上原 隆平(監訳)
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/6820.html
問題9:子供は何人?
「庭で子供たちの遊んでいる声が聞こえますね」
数学専攻の大学院生ジョーンズがいった。
「全員、先生のお子さんですか?」
「そんなわけあるまい!」
スミス教授は声を上げた。教授は、整数論の大家である。
「わが子たちは、近所3軒の子供たちと一緒に遊んでいるのだ。たしかにその中ではうちが子供が一番多いがね。ブラウンさんのところが次に多くて、その次がグリーンさんでブラックさんのところが1番少ない」
「子供は全部で何人になりますか?」とジョーンズが聞いた。
「そうだねえ、こういうふうに述べてみよう」と教授は説明をはじめた。
「子供の数は18人より少ない。また、4家族それぞれの子供の数をすべて掛け合わせると、ちょうどうちの家屋番号になる。ほら、家に着いたとき君も見ただろう」
ジョーンズはメモ帳と鉛筆をポケットからとりだし、何やら計算をはじめた。しばらくしてジョーンズは顔を上げていった。
「まだ情報が要ります。ブラックさんのところの子供は複数人ですか」
教授がそれにイエス・ノーで答えると、直ちにジョーンズは、顔をほころばせながら、4家族それぞれの子供の人数を正確に言い当てた。
つまり、家屋番号を知っていて、ブラック家の子供の人数が複数かどうか知っているジョーンズにとっては、その問題の答えは自明であったが、驚くべきことに、実は、それらを知らなくても、ここまでに述べた情報だけをもとにして、それぞれの人数を一意に決めることができる。さて、それぞれ何人であろうか。
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2024.10.16
いろんな人の、いろんな力が集まって、eラーニングシステムLearnOはグッドデザイン賞をいただきました。
クラウドサービスが対象になるとは思ってなかったのですが、大丈夫だよと教えてくれた先輩受賞者の方。
3年にわたり、リブランディングに取り組んだコンサルタント、プロデューサー、ディレクター、デザイナー、エンジニアのみんな。
サービス運用で貴重な意見をくれたインサイドセールス、テスター、バックオフィスのみんな。
うまい見せ方や告知のタイミング、展開手法を考えてくれた広報、マーケティングのみんな。
オンラインでLearnOを見つけて、使いつづけてくださったクライアントのみなさま。
動画サーバを提供いただいたり、コンテンツ制作で協力いただいたパートナーのみなさま。
自社のブランドとして作り込んで、パッケージ販売いただいたパートナーのみなさま。
利用規約をアップデートし、経理を処理いただいた地域パートナーのみなさま。
それ以外にも数えきれないほど、多くの方に支えていただきました。
なかなかお伝えする機会と場所がないため、改めてこの場をかりて心より御礼申し上げます。
みなさまのお力添えなしに、ここまでくることはできませんでした。
チームでサービスを作っていくのは、本当にかけがえのないものです。
奇跡的に手を取り合えた方々と一歩ずつ進めたことを誇りに思っています。
これからも信頼に足るサービスとなるよう、日々精進してまいります。
【参考】プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000004876.html
2024.10.08
以前のロングインタビューで、作り手とのコミュニケーションと称してエンジニアやデザイナーとの関わり合いを話しました。
すでにロングインタビュー自体が終了していて話す機会がないので、次はディレクターをどう捉え、どう接しているかを書いてみたいと思います。
ウェブのディレクションという仕事、ディレクターという職種。
ウェブ制作会社、システム開発会社、SIer、BtoBやBtoCサービス提供会社ほか。
いろいろありますが、共通している役割を抜き出すとやっぱりプロジェクトの要(かなめ)ということでしょう。
誰からも頼られて、あらゆる情報を裁き、うまくバランスを保ち、間合いをとる人というイメージ。
そして、なんといっても一番理不尽な要求をたくさん受けるポジションでもあります。
仕方がないんですね、エンジニアやデザイナーといった作り手とお金を出してくれるクライアントやプロデューサーに挟まれた中間地帯にいて、常に変化するプロジェクトの状況をモロに受けるんですから。
だから要所をおさえる勘所、もしくはマメさが大事かなと思います。
最初は勘所が分からなくても、マメに情報を集めていけばなんとか回っていきます。
そういったことを踏まえてディレクターと話すときは、内容より抱えているストレスの種類を見ています。
ずっと前から背負い込んでいる問題なのか、直近起きたトラブルでの対応なのか、あらゆる締切に追われ続けた帰結なのか。
早口だったり、話が飛んでたり、顔がこわばってたり、声のトーンが違っていたりすれば、うん、そういう良くなさなんだなと理解できます。
と、ここまで悪そうなことばかり話してきましたから、次はディレクターのやりがいについて触れてみます。
彼らのやりがいは、おそらくプロジェクトに関わった人たちと達成感を共有できるということ。
なんといっても多くの人と今という時間を共有し、同じ釜の飯を食べて何かを成し遂げるなんて特別な時間でしかありません。
しかも自分にはないチカラをもった人たちとコラボレーションできるという幸運な時間。
ですから周りが楽しければ、自分もうれしいというメンタリティの人が向いている気がします。
ざっくり駆け足で書いてきましたが、こんな感じが僕らの考えるディレクター像です。
あれ
なんか気がついたら
この展開はもしかして、、、
そう思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか
そうです、これは記事だったはずなんですが、自分でも知らぬ前に新手(あらて)の募集要項になってました。
つまり、久々にMogicでウェブディレクターの正社員を募集しようとしていたら、このコーナーにもあふれ出てたんです。
ああ、でも、せっかくなので
コホン
それでは改めまして
今回の募集の背景は欠員ではなく、マーケットディレクションという部門の業務を拡充するのが目的です。
ディレクター像ばかり話してきましたが、マーケティング業務もしっかりやっています。
IT業界はじめてという方、新卒ではたらいてわずか数年という方、そもそも就活しているという方、まったく構いません。
Mogicの選考はいつも今のメンバーとの相性です。
経験やスキルはほとんど見ていません。
気になったという方、ぜひお問い合わせください。
最近はカジュアルな面談(面接ではない)で事前に話すこともできます。
さて蛇足的ですが、ベーシックなディレクターの役割だけじゃなくて、ベストなディレクターとはなんぞやについての考えを残しておきます。
ベストなディレクターとは?
もちろんプロジェクトのみんなの運が上がりそうなディレクター、自分だけ運が良くても困りますから。
すなわち考えて考えて考えたのに考えたのじゃない選択をできて、逆境で追い詰められて追い詰められてしんどすぎるのになぜかみんなが集中して楽しく取り組めるようなディレクションかな。
【参考】未経験で入社した正社員のインタビュー
https://pr.mogic.jp/category/interview/13446
【参考】マーケットディレクション部門のチーフインタビュー
https://pr.mogic.jp/category/interview/13456
【採用】マーケットディレクション部門
https://www.mogic.jp/recruit/#marketd
【カジュアル面談】問い合わせフォーム
https://www.mogic.jp/contact/form/132/
2024.10.01
会社では、目的に沿ってきちんと物事を進めることが求められます。
とはいっても、目的からは外れているけど偶然いいものを見つけられたら、それはそれで嬉しい。
着実たる目的への道すじと、ふらり思いもかけない出会い。
どちらかに偏らずにうまく二つのバランスとれたらいいのにと思っていたら、生化学のメカニズムに求めている表現を見つけました。
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眠れる進化
アンドレアス・ワグナー(著)、大田直子(訳)
https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000614651/
多くのタンパク質は自己組織化してーー折りたたまれてーー入り組んだ三次元の形になる。
そのアミノ酸鎖は、周囲から飛び込んでくる無数のほかの分子に、たえずぶつかられる。
この衝突は、私たちが熱と呼ぶ分子の振動によって引き起こされる。
それはタンパク質折り畳みを推進するエンジンでもある。
略
前に言及しなかったのは、タンパク質の鎖は折り畳まれた後でも、動くのをやめないことだ。
その形は近くのアミノ酸間の化学的引力によってまとまっているが、熱振動に揉まれ続けるので、くねくねと動き震え続ける。
こうした動きはほとんどのタンパク質が実行する仕事に不可欠であり、地球上のあらゆる生命に力を与える化学反応に触媒作用をおよぼすーー反応を加速するーー何千種類の酵素も例外ではない。
そしてこうした酵素のなかには、抗生物質を引き裂いて破壊することによって、生体を守るものもある。
略
抗生物質を切り裂く酵素では、酵素の折り畳みがこうした動きを導き、特定のアミノ酸を分子が引き裂かれる必要のある場所にたたきつける。
結果的に生じる衝突が抗生物質を裂く。
ハサミが紙を切り裂くのと似ているが、働く力は力学的なものではなく化学的なもので、原子間の引力と斥力がかかわる。
略
ピボットが少しゆるいハサミのように、酵素の誘導運動はずさんな場合もある。
飛び込んできた分子をまちがったアミノ酸と結合してしまうかもしれない。
あるいは、アミノ酸は正しいが、まちがった場所で結合する可能性もある。
略
こうした理由から、一種類の化学反応を加速する酵素の多くは、ほかの反応も加速できる。
生化学者はこれを基質特異性の「ゆるい」酵素とも呼ぶ。
多種多様な分子パートナーとの反応を触媒するからだ。
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生物の代謝を調べると非常に複雑な回路だと分かりますが、実は意外とゆるい部分があるようです。
体でいえば、複数の部位が連動するからこそ全体の活動を維持できるのであって、細胞レベルでの確実性や再現性が土台になっていることはいうまでもありません。
しかし、そんなレベルでもゆるさがある。
ごくわずかなゆるさが新しいタンパク質を作り、DNA鎖を置き換える。
だったら、そうかと飛躍させていきます。
もし会社の組織にわずかなゆるさを持てたらどうなるんだろうと。
理想的には「ごくわずかなゆるさが多種多様なメンバーとの反応を触媒する」と仮説を立てることができます。
ただし、問題は塩梅の加減です。
ごくわずかなゆるさ、そのさじ加減が難しい。
わずか、こわずか、ごくわずか。
苦しまぎれに「わずか」の三段活用してみましたが、やっぱりいい案が浮かんでこないので、とりあえず今日は秋のはじまりにふさわしいスイーツを取り寄せることにしました。
ちなみに上述の進化生物学の書籍は面白い説が多く、おすすめです。