少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2022.08.29
組織をつくる時に一番ネックになるのが、三階層のマネジメント問題でしょう。
上司がいて部下がいる、これは二階層。
上司の上司がいて、上司、部下がいる、これが三階層。
自分の直属の部下なら「こうしたら?」とアドバイスしやすいのですが、自分の部下の部下ならそうはいきません。
そもそも人数が多くなってますし、階層を飛び越えての指導は長期的にみて意味がないからです。
そして、お気づきのように三階層のマネジメントはすべての対象が見えないのですから、難易度が格段にあがります。
これが組織づくりでボトルネックになってきます。
難易度が高いがゆえに、そう簡単に三階層のマネジメントをこなせる人がいないのです。
さらに三階層目のポジション自体が少ないので、実践でトレーニングできる場も限られています。
簡単な計算式を作れば、業務量が増えて組織が大きくなるスピードが三階層のマネジメント能力の育成時間を軽く追い越していくことが分かります。
その帰結として組織にどういうほころびが出るのか、正確には分かりません。
ですが、事前に組織のシミュレーションモデルをたくさん作っても損はしないし、可能性の議論ならできるものです。
2022.08.22
小さい頃に「カチカチ頭。考えが固い。もっと柔らかく考えなさい」と口酸っぱくいわれていました。
当時のはやり言葉だったのか、今となってはわかりませんが、固い/柔らかいのセンサーだけは残っています。
とりわけ会社というビジネスの組織は、固くて隙間のない話になりがちなので、一番手掛けやすいところ。
成功した前例を踏襲せよ、他社の戦略を調査するんだ、再現性を見つけて効率化するぞ、KPIを掲げてPDCAを高速回転で、前年比前月比で成長しつづけ、採用戦略で優秀な人材を引きつけて、アジェンダを準備して会議時間は最短に、風通しよくコミュニケーションをとり、3ヶ月ごとに部門や個人の目標をクリアすべし。
そういったことも自分たちの会社ですから、好きなように叩いて、伸ばして、こねて変えていけばいいのです。
2022.08.17
1年目はおそるおそる、2年目は慣れてしまって大きなミス、3年目にすべて分かったつもりで停滞する。
いいか悪いかは別として、何かをスタートするとこの法則が出てきます。
最初のアルバイト、新入社員、初マネージャ、はじめての起業、新しく立ち上げたサービス。
何を隠そう、自分がそうなので戒めとして気をつけています。
石の上にも3年とはよくいったもので、3年たっても勢いがあり、持続的な成長を感じられればうまくいったんじゃないかなと思っています。
そう考えれば、3年目まではチンタラと蛇行するのも、ションボリと落ち込むのも経験の一つとして割り切ってもいいんじゃないでしょうか。
2022.08.08
久しぶりに会った友人に「どうやって経営してるの?」と聞かれました。
起業する前は自分もどうやって経営するのか謎でしたが、今なら分かります。
「ウソみたいに聞こえるだろうけど、カンに頼るしかないね。
あれもこれもまずやる。
本に書いてあること、人に言われたこと、専門内外は関係ない。
周りを巻き込んでみる。
普段やらないこともやる。
結果がでる。
ああ、だいぶ失敗したと思う。
すぐに思いついて、またやる。
これは、少しの失敗だなと。
じゃあとスピードを上げて、再現性を考えてやってみる。
視点を変えるから、また違う失敗になる。
いろんな失敗を、あらゆる失敗で塗りつぶす。
失敗してもペースは変えず、ずっと動かしていく。
山にのぼり、谷をくだれば、霧が晴れるように問題が消えていく。
そしたらまた夢のようなテーマを追いかけて
カンを頼りにどこまでもって感じ」
と答えました。
そしてさらなる質問。
「ブログから楽しそうな雰囲気が伝わってくるけど、人を採用するって大変じゃないの?」
これはよく勘違いされるので回答が用意してあって
「大変だから、すごくシビアに考えてカッツリやってる。
ゆとりとか、ゆったりした経営は一切目指してない。
結果的にそう見えやすいけど違う。
情報の密度を高くしてるから緩急をつけないと、みんなつかれちゃう。
リラックスしてるときだけを切り取ると誤解されやすいんだ。
多くの貨物がいくつもの線路に走っていて
それらをリズムよくつなげるために、楽しんでる」
と。
「へえ、そっか、やっぱ大変なとこあるよな」と話は終わりました。
帰り道、少しホッとした自分を見つけて、そういえば果てしなく続く職業だったなと思い出しました。
2022.08.01
一口にデザインといっても、モノによって違うのでいつも議論が盛り上がります。
これまで手がけてきたものはポスター、ディスプレイ、アプリ、ウェブ、マグカップ、カレンダー、展示ブース、ゲーム、ムービー、ファッション、リノベとたくさんあります。
ポスターなら「パッと見で心を鷲づかみにする」ことが大事だから、外食のような濃い味付けに。
ディスプレイなら「歩く人の感覚に乗っかった景色を見せたい」から、季節感を取り入れて。
ゲームなら「エンディングに至る盛り上がりを感じてほしい」から、タメを作ってと。
中でもやはり、ウェブデザインが一番厄介かもしれません。
他の媒体と違い、いつどこからどんな利用者がくるか読みづらいためです。
ブラウザやOS、デバイスによってズレがあり、いきなり他言語から接触してくるかもしれないし、なによりトップページから順番に見てくれず、しょっちゅう商品の説明ページからダイレクトに入ってきます。
それも検索結果からきたり、ソーシャルメディア、メール、ブックマークからだったりとバラついています。
取り扱う情報によってページを遷移させた方がいいのか、スクロールだけで情報を読み込ませた方がいいのか、アニメーションさせた方がいいのか、と表現を使い分けねばなりません。
あっちも、こっちも、そっちもと方図なく考えが広がっていきます。
ですが広がりきってしまえば、あとはハラハラと散り、静かに積み重なっていくもの。
何度来ても飽きないように、視線をうまく誘導できるように、間違えても気がつけるように、質感を心地よく感じられるように、定期的にメンテナンスしやすいように、情報が増えても破綻しないように、プログラムを組み込みやすいように、地味にならず遊び心があるようにと。
複雑にからみあいながらできていくものがシンプルに見えてきたら、それは最高の瞬間になります。