Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2022.03.14

アップデートするタイミング

ITで最もよく使われる用語に「アップデート」があります。

不具合をなおして新機能を追加したら、プログラムをアップデートします。

文章に手をいれて映像を加工したら、コンテンツを更新します。

今では当たり前になったアップデートですが、CDやDVDが主流だった時代にはパッケージという考え方しかありませんでした。

できあがった作品はパッケージとして固定化され、使う人のもとに届いても変化しません。

パッケージは工場から出荷されると変更がきかないため、作品にどこまでも完璧さや正確さが求められていたように思います。

その頃の学校教育も同じで答えに正確さが求められ、問題そのものも安定して変化することはありませんでした。

パッケージからアップデートへと軸足が移った今、自らへの教育も更新されているだろうかと考えます。

学生の頃に覚えたままの知識、過去にうまくいったやり方、なんとなく予想できた生き方、ありそうな21世紀の社会像。

もし想像と違うことが多いなら、自らをアップデートするタイミングがきているはずです。

2022.03.07

抜けてはいけないもの

過酷な状況を作るには、締め切りを早めて作業量を増やすだけでいいと言われます。

明日までに1人で100人分の朝ごはんを作ってください、とすればできてしまいます。

量が増えれば自然と労働時間は長くなりますので、ブラックな労働環境に近づきます。

おそらくブラックな労働環境はそれを作りたくてはじめた訳ではないでしょう。

悪い結果もすべては最初に善意ではじめられたというローマ帝国のことわざのように、高い目標を作る気概とそれを短期間にこなそうとした熱意から生まれた、一つの結果だと考えています。

そんな危険があるなら、わざわざ高い目標を掲げなくてもいいじゃないか?という意見が出てきます。

目標を設定しないとどうなるか?

誰も作業をしなくなるんじゃないか、成長が止まってしまうんじゃないか、チームがばらけてしまうんじゃないか、競争に負けてしまうんじゃないか、といった不安が頭をもたげてくるものです。

と、ここまで考えて「目標」の難しさに思い至ります。

目標は作るべきか、どのぐらいの目線の高さか、締め切りは必須なのか、守れなかったら問い詰めるべきか、フェアにするべく罰を設けるべきか、目標をクリアしたら新しい目標を作るべきか、目標らしくない目標もありか、といった課題が押し寄せてきます。

難しくはあるのですが、絶えず「誰のための、何の目標なのか」が抜けないように気を配るしかありません。

2022.02.28

とても早いうちに仕込んでおく

15年以上も昔の知り合いに「変わらずバースデイケーキのイベント、やってるんですね」と言われました。

そういえばそうだったかと思い出して、ずっと変わらないんだなとひとり苦笑いです。

IT系はプランナーだけだと何も前に進まなくて、ディレクター、デザイナー、エンジニア、カスタマーサポート、エディター、セールスとタッグを組んではじめて力を発揮できます。

ペンと紙さえあれば生きていけるとうそぶくこともできますが、本当はたいしたことありません。

そんな負い目があって、みんなのためにと思いついたのがバースデイ会でした。

いかに周囲を巻き込んで演出するか、それこそプランナー最大のトレーニングにもなりますから。

うまくいったこともあれば、うまくいかなかったことも山のようにあります。

一つ学んだことは、とても早いうちから少しずつ仕込みをいれた方がいいということです。

相手の気づかないうちに目に入っていて、あとで線をつなげて謎を解き明かすといった具合に。

あちこち仕込みすぎて、リスの隠したどんぐりのように知らぬまに芽が出てしまうのはご愛嬌でしょう。

2022.02.21

今日もはりきって仕事していく

意外に思われるかもしれませんが、Mogicは多くの人が入社し、多くの人が辞めていきます。

チームワークを大事にして、お互いをフォローする雰囲気がありますから、辞める人をイメージしづらいかもしれません。

実際に長く働く人が多いのも事実です。

ですが、人生に不意な出来事はつきもの。

家族の事情だったり、自分のライフステージだったり、起業のタイミングだったり。

始まりあれば終わりあり、一期一会という言葉がある通り、人生の貴重な一瞬を一緒に仕事ができただけでも奇跡だと思っています。

先週、偶然にも2人が新しいフィールドに向かっていきました。

最後にもらった言葉を少しだけ。

「私は2年前からMogicでインターンシップを始めました。それは素晴らしい旅でした。日本で留学生であることはとても特別な感じがして、Mogicのみんなからたくさんの愛をもらいました。」

「おかげさまで静かにワガママに働かせていただきありがとうございました。Mogicは企業ですが、社会貢献の実現や「教育機関」としての一面もあり、その部分も面白く感じました。」

共に働いた時間が有意義だったと感じられるよう、今日もはりきって仕事していきます。

2022.02.14

気軽に思っている

Mogicではオリジナルのカレンダーを配ったり、ジョークなアプリをリリースしたりします。

社内を見れば、リレー方式でコミックを描き、自分たちで作ったSNSに好きなトピックを投稿します。

バースデイ会では寸劇が披露され、季節のイベントにはスイーツを選び抜いて取り寄せます。

ビジネスですし、本業はIT教育サービスですから「何の意味があるんですか? 働く人に甘えはでないんですか?」と聞かれることがあります。

「今のところ意味はありそうですし、甘えもない気がしますね」と答えると理解しかねるといった表情で話は終わります。

論理的に説明する難しさを感じていたので、生物の進化の話にかぶせてみます。

ーーーーーー
進化の技法 〜転用と盗用と争いの40億年〜
https://www.msz.co.jp/book/detail/09043/

ゲノムの内部では絶えず争いが起きている。

一部の遺伝物質は自らのコピーをひたすら増やすために存在している。

それはゲノムに侵入して乗っ取ってしまうウイルスのような、外来の侵略者かもしれない。

あるいは、増殖してゲノムのあちこちに入り込む跳躍遺伝子のような、内在の配列かもしれない。

これらの利己的な遺伝物質が特定の領域に着地すると、時として、子宮内膜のような新たな組織をつくるために使役されたり、記憶や認知などの新たな機能を支えるために使われたりする。

遺伝的な変異は、たった数世代のうちに、ゲノムにあまねく拡散しうる。

ーーーーーー

生物の進化は、決まった目的のために進むというより、偶然の変異で生まれた機能を別の用途で使いまわしてることが多いという説です。

鳥が飛ぶために軽い骨格になったり、羽毛をまとったりしてるんじゃなく、好都合な要素が揃ったから飛べたということになります。

そんな偶然があるわけないとにわかに信じられませんが、数億年の積み重ねはヒトの頭が預かり知らない領域でもあるのでしょう。

壮大な時間の流れと重ねて跳躍しすぎつつ、一見無駄だと思えるプロダクトづくりも、イベントも、取り寄せも、いつかの土台になればいいし、ならなくてもいいと気軽に思っているのです。

2022.02.07

自信がありませんという相談

これまで「自分に自信がありません」という相談を数多く受けてきました。

「そうなんだ、大丈夫だよ、みんなそうだよ」と寄り添っていく展開。

「特に何に自信がないんだろう?」と掘り下げていく展開。

「じゃあ、自信がありそうな人をピックアップして」と広げていく展開。

相談を受けた後の展開は、状況によっていろいろあります。

ひとしきり話したことで何かにつながっていればいいのですが、それには僕が自信ありません。

たまに相談してきた人に「自分に自信がない」の反対って何だろう?と困らせる質問を投げてみます。

愛の反対が憎しみではなく無視であると誰かがいったように、自分に自信がないの反対は自分に自信があるといった単純なものではないでしょう。

自信のなさを支えている土台は過去に失敗と刻まれた記憶と未来へとつづく影法師でしょうから、その反対のはず。

つまり対義語と考えられる一つは「過去も未来も関係ないと思える自分」ということになるでしょうか。

2022.01.31

蝋梅(ロウバイ)が咲くころ

幼い頃、生け花の先生のお家に通っていたことを蝋梅が咲くころに思い出します。

今ではITの仕事をしているので数字を使ってカリカリとロジカルに話す人だと思われがちですが、経営の感覚は自然との関わり合いに似ています。まずは季節を感じる一節より。

ーーーーーー
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―
https://www.shinchosha.co.jp/book/136351/

前は、季節には、「暑い季節」と「寒い季節」の二種類しかなかった。

それがどんどん細かくなっていった。

春は、最初にぼけが咲き、梅、桃、それから桜が咲いた。

葉桜になったころ、藤の房が香り、満開のつつじが終わると、空気がむっとし始め、梅雨のはしりの雨がふる。

梅の実がふくらんで、水辺で菖蒲が咲き、紫陽花が咲いて、くちなしが甘く匂う。

紫陽花が終わると、梅雨も上がって、「さくらんぼ」や「梅の実」が出回る。

季節が折り重なるようにやってきて、空白というものがなかった。

「春夏秋冬」の四季は、古い暦では、二十四に分かれている。

けれど、私にとってみれば実際は、お茶に通う毎週毎回がちがう季節だった。
ーーーーーー

重厚長大な装置産業をやっているわけではないので、簡潔にいえば「人の集い」がすべてです。

集まっている人は毎年どころか、過ぎていく節目ごとに変化していきます。

小さな芽が出た人、つぼみがふくらんだ人、咲き誇っている人、根っこに蓄えている人。

移ろいゆくさまを受けとめて、考えることも流れるように変わっていけばいいのだと思っています。

2022.01.24

よぎる直感、かかる時間

ふとよぎる直感が何年もかかってようやく裏付けられることがあります。

樽で寝かせるお酒のように、はじめは言葉や絵がつめて保管されていて、とてもゆっくり溶けだしていきます。

自分で会社を作った方がいい、という直感には10年かかりました。

教育ITサービスLearnOを提供した方がいい、には7年。

目標を掲げずにアナログで評価していこう、に5年。

オフィス前を歩く人のためにディスプレイしたら、は3年。

しばらくは苦々しく変わりばえがしないので、道草は少なからず。

焦れて成果をもぎとりたい気持ちは、いつも絶えず。

辛抱して手間暇かけてこそ、目に見えないものはいい具合になるようです。

最新記事

代表インタビュー

月別アーカイブ