少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2023.05.08
好奇心(を持つ)とは何か?と調べてみると、一説には「あらかじめ想定したことと実際起きたことがズレていた場合に、埋めたくなる気持ち」とあります。
たしかに本当はこうなるはずだったんだがおかしいなと思うと、とりあえず原因や状況を調べたくなります。
ここで敢えて、反対の意味を考えてみます。
つまり、好奇心を“持てない”とは何か?ということです。
一見必要なさそうですが、意外にもよく聞かれる質問だったりします。
そうすると、一番最初の定義の反対になりますから「あらかじめ想定したことと実際起きたことがズレていない」か、「そもそも、あらかじめ想定できていなかった」ことが出てきます。
ズレがなければ何も調べる気持ちは起きないのでそこは排除して、もう一つの「あらかじめ想定できていなかった」ことに絞りますと、なぜ想定できないのかという話になります。
そりゃ、想定できないのは「その状況に対して、ほとんど何も知識がないから」となってきます。
最低限の知識がなければ、これから起きるパターンの想像は難しいでしょうから。
かといって、知らないものを覚えるのはなかなか骨が折れます。
となってくると、好奇心を持つには基本的な知識を自然と覚えられる環境であればベターだなあと思うにいたります。
好奇心を持つこと自体が目的ではありませんから、別に目指してるわけではないのですが、みんながワクワクしていた方が面白いかなと思って、知らないことに触れられる仕掛けばかり作っています。
2023.05.01
穀物にめぐみの雨がすぎ、からりと晴れた空がやってきました。
いつものようにオフィスの屋上で活動をはじめます。
とはいっても、まずは折りたたみのデッキチェアでうとうとしながら。
たなびく雲につばめがひらり、かおる風にけやきがふわりとしたら、やりたいことが浮かんできます。
ああ、久しぶりにみんなで山盛りコロッケを頬張りながら冷えたクラフトビールを飲みたいなあ、なんて。
コロナ禍をすぎ、ぞろりウォーミングアップです。
2023.04.24
海外で旧市街のマーケットをふらふら歩いていると、見たことのない果物ばかり目について、あれこれ聞いているとやがて食べたくなり、気がつくとポイっと口に放りこんでいます。
ふんわり爽やかな香りが広がるんだなとか、ガリガリ硬くてじんわり甘いんだとか、カスタードみたく舌いっぱいに溶けるんだなあとか、普段食べている果物では味わえない感覚。
異国の旅情がなせるワザかと思っていたら、どうやら違うようでした。
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フルーツハンター
アダム・リース・ゴウルナー(著)、立石 光子(訳)
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205742.html
現代では、果物は日常生活の一部になっている。
だれでも好きなだけ食べられる。
一年じゅう店頭に並び、安価で、いつのまにか台所の調理台の上でしなびてカビだらけになっている。
果物を食べるのは義務に近い。
果物が苦手だという人も大勢いる。
たぶんそれは、果物を食べるのが、収穫してから平均して二、三週間たっているせいだろう。
グローバル経済では規格化された製品、つまり、信頼性があり、むらがなく、均質な製品が求められる。
略
ぼくが買ったリンゴは、ボルネオでも、ブラジルでも、ブタペストでも、ボストンでもまったく同じものだった。
ぼくたちが口にする果物の多くは輸送に強く、スーパーマーケットのぎらつく蛍光灯の下で十日間鮮度を保つように改良されている。
その結果が「サイボーグ果実」だ。
略
本物の果実は繊細な生もので、慎重な取り扱いを必要とする。
人間がさまざまに加工してきたとはいえ、果実は本質的に御しがたく、予測もできない。
同じ木からとれたリンゴでも風味はそれぞれ異なる。
何時に収穫されたかで品質に差が出る。
一個のオレンジでもひと房ごとに糖度が変わる。
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そういわれてみると当たり前のこと。
脱穀してつきたての新米には土の匂いがしますから。
いつも口にする果物は、いつも手に入る代わりに何かがこぼれおちています。
もう一節ほど引用を続けると
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選ばれたひと握りの果物が国際貿易を支配している一方で、この惑星は人間の手の届かない、あるいは人間に無視され、忘れられた果物であふれている。
たとえば、ピニャ・コラーダ味のマンゴー。オレンジ色のホロムイイチゴ。白いブルーベリー。青いアンズ。赤いレモン。金色のラズベリー。ピンク色をしたチェリモヤもある。
果物の多様性にはめまいがする。
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これは果物に限ったことではありません。
効率的な流通がもたらす商品化の先に、豊潤さは失われます。
もし会社だったり、働き方だったり、教育だったり、ビジネスモデルであればどうなるんだろうと考えます。
生きようとする木々や草花が果実を作り変えるように、クラクラするほど、いろんな形があっていいんじゃないかと思えてきます。
2023.04.17
1年365日のうち、土日祝日を休みにすると営業日は240日前後です。
1日8時間働くとすれば、1年で1,920時間。
残業を1日平均2時間すれば、1年あたり+480時間。
もし22歳から60歳まで38年間を残業2時間で働くと、残業の総時間は+18,240時間。
この残業時間を1日8時間労働で換算しなおすと、2,280日分。
つまり、22歳から60歳までの38年間に2,280日残業/240営業日=9.5年ほど余分に働いていることになります。
こう考えはじめると残業+2時間せずに定時で上がり、残業しなかった分(+9.5年)を60歳以降に割り当てて、70歳まで働いた方がいいんじゃないかなという着想が生まれます。
さらに通勤に往復2時間かかっていたら、近くに住むことで38年間でもう9.5年分が出てきて、80歳まで働いた方がいいんじゃないかとなります。
ただし、この着想が有効なのは働くことにポジティブな意味を見出しうる場合でしょう。
ポジティブな感じ方は人それぞれとはいえ、適度なストレスに、ささやかなやりがい、少しずつ成長して、好きに使える自分の時間に、あれこれ家族や友人と笑い、うまく心身をメンテして、周りから頼られながら、さりげなく人の役に立てるのであれば、+10年、+20年は悪くないのかなと。
すべての流れの早い今の時代、この考えは理想的すぎるかもしれません。
ですが、自分たちの会社だからこそ、理想を目指せる自由を使うのです。
2023.04.10
何か問題にぶつかったとき、勝利の方程式という言い回しの通り、ゴールに最短距離かつ最小工数で近づけないかと考えます。
この方程式という比喩は、一定の規則やフォーマットが存在し、パラメータであるAとかBを入れていけば、求める答えがチーンと出てくるもの。
ノウハウやメソッドとも言い換えられ、コピーが可能で流通でき、別の場所に移植すれば復元できます。
ここで少し穿って勝利の方程式を厳密に代数方程式だとみなすと、高次で必ずしも解くことができない場合や特定の値を導けない場合がありえます。
つまり、解ける問題なら方程式でいいのですが、そもそも解けない問題に対して方程式以外のどういうアプローチをとればいいのかという話が出てきます。
解かないことにするのか、近似させて最適解を得るのか、確率的に分布を見るのか、視点をずらして問題の次元を変えるのかなど。
会社を運営していると、95%以上は方程式で解けない気がします。
そもそも代数方程式と大きく異なるのは、時間が経つにつれ問題の前提条件が多様に変化するということ。
逆手にとれば、解けるようになるまで特定の条件を待つということができます。
ですから、まあ、今日もたっぷり時間をとって、見たことない問題をどうしたらいいか考えるしかないのです。
2023.04.03
私たちが接する情報は増えに増え、あれもこれも見たくなり、気がつくとずいぶん時間が経っています。
芋づる式に連なってくる情報は、知らず気分を上げたり下げたり、心も忙しくしてくれます。
未来にもっと多くの情報がやってくるなら、今より穏やかな気持ちにはなれないでしょう。
そんな将来はイヤだなあ、どういうスタンスで望めばいいのかなあと考えていたら、とあるプロダクトデザイナーの言葉が目に止まりました。
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自分に語りかける時も敬語で
秋田 道夫(著)
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784906790401
機能を増やすには技術がいりますが、機能を減らすには哲学がいります
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ははあ、と思うに至り。
「機能」という単語を強引に「情報」に置き換えてみます。
すると
情報を増やすには技術がいりますが、情報を減らすには哲学がいります
となり。
己がどういう哲学を持つのか、それを問われる気がしてなりません。
2023.03.27
エンジニアリングでは誰もが知っている話で、コンウェイの法則というものがあります。
50年以上前にメルヴィン・コンウェイが提唱した概念でwikiより引用しますと
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コンウェイの法則
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4
「システムを設計する組織は、そのコミュニケーション構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう」 (原文: "Organizations which design systems are constrained to produce designs which are copies of the communication structures of these organizations."
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指揮命令系統が階層構造の組織なら、自然とディレクトリ型のシステムを作ってしまうということです。
結果として横同士の連携は弱いものになることが最初から予想できます。
この法則を少し応用すれば、逆のことが推測されるでしょう。
つまり組織を見ればシステムが分かるの反対で、システムを見れば組織の構造が分かるということです。
いうなれば、目は口ほどにものをいうと同じ。
自分たちが作りつつあるシステムを見れば、無意識にどんなコミュニケーションをとっているかが分かってくるのです。
2023.03.06
3月1日に新部門を設立しました。
イノベーション&プロデュースといって、多少大げさかもしれませんが、将来の成長余地を見越した名前になっています。
実情はWebプロデュース業務で、数年がかりでようやく部門化することができました。
なぜ部門として立ち上げるのに時間がかかったのか?
それは「プロデュース」という言葉から受ける印象の通り、何をしたらいいかパッと分からないからです。
担当する人が何を目指してどうすればいいのか分からなければ、職種にすることはできません。
エンジニアやデザイナー、ディレクター、マーケッターよりもスキルやノウハウが体系化されにくいので教育がとても難しくなっているのです。
これまで、いろんな実地でメンバーのプロデュース感を養ってきました。
新設部門とのからみで当面の間、忙しくなります。
本コラムが月1-2回の更新になることをお許しください。