Mogicはかんがえる

『自分たちの好きなように会社を作っていけばいい。
他と違ってても、普通じゃなくても、信じられることをやっていく。
信じられること、それって案外と少ないものですから
そう、本当に愚直に、率直に、真摯にそれを探してきたんです』

代表取締役 山根陽一

2025.10.17

みんなが確かめられる座標

夕方の風が冷たくなってくると、オフィスの屋上に望遠鏡をかついでのぼっています。

宵の口にゆらゆらとまたたく星々を眺めてから帰途につくのですが、そんな毎年のルーティンが意外と落ち着くものです。

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星三百六十五夜
野尻抱影(著)
https://www.chuko.co.jp/tanko/2022/04/005534.html

十時過ぎ、今年初めてのオリオンが昇っているのを見た。葉をふるい落とした桜並木の枝にかかって、星が一つ一つ火花のように爆ぜていたので、庭の西がわまで歩いて行き、さえぎるものがないようにして眺めた。

暮春のころ西の地平へ見送ってから、夏の夜明けに見たこともないではないが、それは消えていく姿で、今夜こそ半年ぶりの対面だった。私は忙しく、三つ星、小三つ星、それらを長方形に囲む四つの星の配置と、一々の色、瞬きに眼を配って、安心したような気分になった。

これは少年の昔、木枯らしの夜に見おぼえてから、毎年今ごろになると経験することで、この雄麗な星座がいつも若く新鮮な印象が、まるで初めて見るもののように思える。この驚嘆と賛美を年々くり返してきて、さらに死ぬ日までもくり返して行けることは、星に親しむ者のみに許された特権だと思う。
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移りゆく世の中に変化する楽しさがあるからこそ、変わらない地点の良さがひときわ輝いてみえる。

同じ季節、同じ場所でゆらめく星のように、会社でたくさん挑戦するからこそ、みんなが確かめられる座標を大切にする。

Mogicは今月から17年目のシーズンがはじまりましたが、これからも変わるもの/変わらないものを大事にしていきたいと思っています。

2025.09.29

バックグラウンドが違う相手へ

教える、教わるって難しいもんです。

「教えても教えても、全然うまく伝わらないんです」
「教えてもらった後に何したらいいか分かりません」
「自然とすごいところに自分を導いてくれる人が理想です」

もっともらしい(?)意見を聞くたびにまあまあとなだめていましたが、本当はどうするのがいいんだろうと思っていました。

ぶっちゃけていえば、相手と自分は違う人間だから本質的には“教える/教わることができない”んじゃないかと。

ある人がうまくいったのは、その人の経験や性格、タイミングが前提としてありますし。

別の人がそれを逐一真似ても、どこにもうまくいく保証がないんです。

という不確実さを抱えたまま、教える/教わるを続ける不誠実さ。

だからといって、バックグラウンドが違う相手に何かを届けるってことを諦めたくないものなんですね。

でもなあ、どうしようかなあ。

何が伝わるとよくて、どうあるといいのかなあ。

そう思っていた頃に、ひとすくいの文章を目にすることになります。

それが今でも、Mogicでの教え方のベースになっているんじゃないでしょうか。

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詩のこころを読む
茨木のり子(著)
https://www.iwanami.co.jp/book/b269008.html

もし、ほんとうに教育の名に値するものがあるとすれば、それは自分で自分を教育できたときではないのかしら。

教育とは誰かが手とり足とりやってくれるものと思って、私たちはいたって受動的ですが、もっと能動的なもの。

自分の中に一人の一番厳しい教師を育てえたとき、教育はなれり、という気がします。

学校はそのための、ほんの少しの手引きをしてくれるところ。

高等小学校卒の石垣りんは学歴に関して劣等感を抱きつづけたと何度も書いていて、あるいは自分で気づいてはいないのかもしれませんが、自分で自分をきびしく教育することのできた稀な人にみえます。
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2025.09.17

未来をみずからつかみとりたい

会社を運営する、となると時間の幅だけでざっくり11層ほどあります。

1層目:数十秒から数分
2層目:1-2時間
3層目:6-8時間
4層目:2-3日
5層目:10日
6層目:1-3ヶ月
7層目:6-12ヶ月
8層目:2-3年
9層目:5年
10層目:10-15年
11層目:30年

もう一つ単位をいれると、空間的な幅で

1層目:メールを読んでいる
2層目:資料を作るなど一人で作業している
3層目:相手の話を聞いている
4層目:相手の話を理解した上で確認している
5層目:複数人の話を聞いている
6層目:複数人の話を理解した上で確認している
7層目:プロジェクトの状況を聞いている
8層目:プロジェクトを理解して確認している
9層目:複数のプロジェクトの干渉度合いを見ている
10層目:プロジェクトごとに評価を行い、修正する
11層目:部門ごとの連携度合いを見ている など

さらに一つ単位をいれると、職種的な幅で

1個目:総務/庶務
2個目:人事
3個目:経理
4個目:財務
5個目:法務
6個目:セールス
7個目:マーケティング
8個目:開発
9個目:デザイン
10個目:品質管理
11個目:情報システム など

加えて、もちろん人の様子をみる必要があり

1個目:声のトーン、表情、しぐさ
2個目:発言する口調や言葉づかい
3個目:依頼の理解度
4個目:締切への感度
5個目:性格や特技
6個目:こだわりと頓着なさ
7個目:内なる動機
8個目:感情の出し方
9個目:得意な思考スタイル
10個目:協働作業へのスタンス
11個目:これまでの働きかた など

人が集まれば、組織ありということで

1個目:オフィスの備品
2個目:就業規則や評価制度
3個目:部門名と役割
4個目:プロジェクトの決定と進行
5個目:職種ごとの役割とステップアップ
6個目:業務フローの整備
7個目:コミュニケーション方法の決定
8個目:稟議や意思決定の場
9個目:価値観の調整
10個目:問題の対処方法
11個目:教育や採用フロー など

組織あれば、戦略が求められて

1個目:経済や社会の動向
2個目:業界の発展
3個目:プレイヤーの参入撤退
4個目:資金、設備の調達ステップ
5個目:ノウハウの蓄積速度
6個目:人が育つ度合い
7個目:プロジェクトの長短
8個目:複数プロジェクトの最適な組み合わせ
9個目:弱みを強みに転換する思考
10個目:膨大な未来シナリオの評価
11個目:リスクの算定とリカバー など

リスクだけを膨らませてみると

1個目:世界情勢の影響
2個目:景気の周期
3個目:規制の変化
4個目:競合の増加
5個目:価値の低下
6個目:資金繰りの誤り
7個目:品質の劣化
8個目:退職や組織の崩壊
9個目:サイバー攻撃の情報漏洩
10個目:契約違反や利害の対立
11個目:コンプラ違反 など

案外と政府や地方自治体への納付が多くて

1個目:法人税
2個目:法人住民税
3個目:法人事業税
4個目:地方法人税
5個目:消費税および地方消費税
6個目:固定資産税
7個目:健康保険
8個目:厚生年金保険
9個目:雇用保険
10個目:労災保険
11個目:源泉・社会保険の納付負担 など

ふぅ、書き出すだけでつかれましたが、無論これ以外にもあります。

ということはすでにお察しのとおり、膨大な組み合わせの先にあらゆるトラブルや不運がありえるのです。

なのにそれを押してなお、会社を運営したいと思うのはなぜか?

その問いに答えられなければ、どこかで心が折れてしまうことでしょう。

僕らはといえば「そこまでしてでも、自分たちが信じられる未来をみずからつかみとりたい」ということでした。

別に昼すぎに北海道のお土産をほおばり、今年最後のスイカを切りわけ、中秋の大福をパクついたっていいじゃないですか(昨日のことだったり)。

それに意味と価値を感じられるのなら、突きすすめばいい。

果てしない可能性の海にたゆたうとしても、“らしさ”という波に乗っかればすぐに大切なものがわかりますから。

だから、ある意味でシンプル、ある意味で楽ちんなんです。

2025.09.05

決算月は何かと仕掛けている

Mogicはこの9月が決算月です。

そういえば昔はこの時期バタバタしてたなあと思ったので、社内wikiにあるMogicの歴史をたどってみました。

・2010年9月:石神井のロイヤルホストで3人でミーティング
・2011年9月:最初のオフィスに入居、複合機や椅子など大量購入
・2012年9月:ニュースメディアを1ヶ月で構築&お祝いバーベキュー
・2013年9月:LearnOが1年で5万人以上が利用でプレスリリース
・2014年9月:社員の募集職種を大幅に増やす&電動キックボードで遊ぶ
・2015年9月:現オフィスで3F/4Fに加えて、1F/2Fも契約して拡張
・2016年9月:社内の業務フローをほとんど分業化
・2017年9月:オブジェクトストレージの大規模障害で臨時対応
・2018年9月:デザインの子会社を作る
・2019年9月:自社の採用管理ツールを稼働
・2020年9月:Mogicサイトリニューアル&お取り寄せ部を開始
・2021年9月:コロナ禍後のリモートワーク解除
・2022年9月:ISMS取得でロゴを設置
・2023年9月:LearnOリブランディングの最終画面の作り込み
・2024年9月:グッドデザインの受賞発表を準備

やっぱり期末ってなんだかんだ出来事が多い気がします。

今年はまったりしてるので、これから何か仕掛けようかなあ。

2025.08.22

悪いことは重なるべく重なる

爆発的な成長、つまり指数的な増幅というのはよく目にします。

分かりやすくいえば右肩上がり、右上に向けてグイッと伸びるグラフのことです。

直感的にポジティブな印象ですから、よくビジネスの現場でアピールに使われます。

ところが、これとは反対に“指数的な減衰”というものはほぼ触れられません。

右下にギューっと沈みこむグラフ、これが案外と意味ありそうだったので深めてみようと思います。

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指数関数的減衰
https://w.wiki/6Jsy

指数関数的減衰(しすうかんすうてきげんすい、exponential decay)、または指数的減衰とは、ある量が減少する速さが減少する量に比例することである。
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ちょっと回りくどいですから、簡単な例で表現してみます。

1000個のおやつがあって、毎日その時の10%がなくなるならどうなるか?としてみます。

1日目:1000個ー100個*10%=900個
2日目:900個ー900個*10%=810個
3日目:810個ー810個*10%=729個
4日目:729個ー729個*10%=656個
5日目:656個ー656個*10%=590個
・・・・・
10日目:387個ー387個*10%=349個
・・・・・
15日目:228個ー228個*10%=206個
・・・・・
20日目:135個ー135個*10%=121個
・・・・・
30日目:47個ー47個*10%=42個

ざっくり分かることは最初の方が急に減って、あとはボチボチということ。

もし直線的ならもっとゆったり進んでいくのでこれが指数的な減り方の一番の特徴でしょう。

ですから、「え、なんで急に悪くなったの」と感じてから「どうして悪いことが重なるんだろう」となるなら指数的な減衰を表している可能性があります。

この現象をビジネスで応用するなら、どう考えるべきでしょうか?

それにはまず「直線じゃなく指数になる背景」を理解しなければなりません。

指数効果がはたらく状態を特定できなければ、線形と比較して意味がなくなるからです。

すぐに思いつくのは、ある集団(集合)において要素が独立していてバラバラなら線形になりやすく、要素同士がネットワークのように連関しているなら指数的になるのではないかという予想です。

“幸せ”というものを例にすれば、それを構成する要素(好きに使えるお金、仕事のやりがい、頼れる仲間や家族、自分らしさ、自由な時間、心地よい環境など)が相互に連関してるので一つでも悪化すれば連鎖して急激に幸福感が下がっていくみたいな。

他もありそうですが、あくまでちょっとした応用なのでご了承ください。

ならば導かれる指針は「急激に悪化する事態が見つかるのなら、それは単一の原因として対処してはならない」「多くの部門にまたがる業務こそ、大変だけど最初に取り組まないといけない」といったことでしょうか。

試してみないと分かりませんが、少なくとも急激に悪くなる事象への心構えぐらいはできそうです。

2025.08.08

地獄の蓋が開いて、閉じられる

明日から9日ほどお盆休みです。

少し長めの休みですから、あちこちで準備を進めています。

デスクの植物に水をたっぷりやって、問い合わせに自動返信を設定して、万が一にそなえて緊急連絡網を確認し、うっかり抜けそうな場所の戸締りをチェックする、と。

うん、まあ、このあたりはみんなよくわかっているのでいつも通りの安定感です。

抜かりなく進んでいく安定感、ううむ、だからこそ「これでいいのか」と生まれる不安感。

変わらないお盆だからこそ、ちょっと立ち止まって考えてもいいんじゃないか。

ということで、今回はお盆について少し調べてみました。

まずは由来をwikiから引用していきます。

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https://w.wiki/3snB

仏教用語の「盂蘭盆会」の省略形として「盆」(一般に「お盆」)と呼ばれる。

盆とは文字どおり、本来は霊に対する供物を置く容器を意味するため、供物を供え祀られる精霊の呼称となり、盂蘭盆と混同されて習合したともいう説もある。

中華文化では道教を中心として旧暦の七月を「鬼月」とする風習がある。旧暦の七月朔日に地獄の蓋が開き、七月十五日の中元節には地獄の蓋が閉じるという考え方は道教の影響を受けていると考えられる。

台湾や香港、華南を中心に現在でも中元節は先祖崇拝の行事として盛大に祝われている。

盆の明確な起源は分かっていない。

1年に2度、初春と初秋の満月の日に祖先の霊が子孫のもとを訪れて交流する行事があった(1年が前半年と後半年の2年になっていた名残との説がある)が、初春のものが祖霊の年神として神格を強調されて正月の祭となり、初秋のものが盂蘭盆と習合して、仏教の行事として行なわれるようになったと言われている。

日本では8世紀頃には、夏に祖先供養を行う風習が確立されたと考えられている。

15日の盆の翌日、16日の晩に、寺社の境内などに老若男女が集まって踊るのを盆踊りという。

これは地獄での受苦を免れた亡者たちが、喜んで踊る状態を模したといわれる。夏祭りのクライマックスである。

なお、新しく行われるようになった盆踊りは、他の盆踊りとの競合を避けるために、時期を多少ずらして行われることも多い。
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1000年以上前から存在する伝統行事としてのお盆。

祖先供養、精霊への供物、道教や仏教の影響がからみあったお盆。

新しい盆踊りが他の盆踊りとかぶらないようにさけるお盆。

パッとイメージされるのは、時代ごとのいろいろな思惑が褶曲して積み重なった露頭といった感じでしょうか。

一筋縄ではいかなそうなお盆ですが、それはそれ。

地獄の蓋が開いて、また閉じられるような稀なタイミングに違いありませんから、この次元が折り重なる期間にしっかり英気を養って、正月にむけて邁進していきたいものです。

2025.07.23

緩やかな速度を感知できない

年に何度かセキュリティの監査を受けています。

気軽に口にする“セキュリティ”、どこからも聞こえてくる“セキュリティ”、わかっているようでわかってない、そんな心持ちになったので少し掘り下げてみようと思います。

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https://w.wiki/EpNe

セキュリティに関して共通的に使用される用語(概念)がある。

1:リスク(risk) - 何かしらの損失を発生させる事態や状況への可能性。また、考えられる脅威を分析した結果として認識される損失発生の可能性(リスク因子)を指すこともある。

2:脆弱性(vulnerability) - リスクを発生させる原因。

3:脅威(threat) - 脆弱性を利用(exploit)して、リスクを現実化させる手段。

4:対抗策(countermeasure) - 脅威がリスクを現実化することを抑止(最小化)しようとする手段。対策ともいう。

5:保証(assurance) - 期待されたセキュリティを備えていることの「確からしさ」を見積もること。

6:評価(evaluation) - 保証の裏付け(エビデンス)を与えること。
ーーーーーー

このうち、やがて面倒になりそうだと思ったのは脆弱性(vulnerability)と脅威(threat)の部分です。

なぜなら他の項目より外からの影響を受けやすく、時間とともにゆるやかに変化するだろうから。

小さな歪みが軋みを生んで、くりかえしガタピシいって、カタカタドスンとやってくるかもしれない。

そのズレていく緩やかな速度って、人間が感知するのは難しいと思うんですよね。

ということを鑑みるなら、セキュリティを「変化しやすい場所」からとらえなおしてもいいんじゃないでしょうか。

会社で一番変化しやすい場所を順番にリストし、その変化率を追う。

例えば、入社や退社、組織の改編やはたらく人の導線、お金の出入り、持ち運ぶモノとか。

そんなスローモーな監査、時間を早送りしながらやってみたいものです。

2025.07.08

苛む風に至り、冷ます頭で思う

昔の言葉でいえば、今は温風至(あつかぜいたる)という時節のはず。

日差しが強くなり、迫りだした高気圧から暖かい風が吹いてくるという様。

ところが現代はまさに、苛風至(かふういたる)ともいうべき暑さ。

体をいじめられるような、仕返しされているような熱さと感じてしまう。

さすがにふぅ〜と一息つかないと持たないので、少し早めに夏休みをとり、遠くにいってみました。

もちろんオーバーヒートぎみな体をいたわるための休みですから、会社のメールやチャットは1日1回見るか見ないかぐらい。

普段と比べて会社の情報がほとんど入ってこないからこそ、意外と会社のことが見えてくるものです。

「朝から珍しく緊急対応してるけど、どう進めるんだろう」
「今日は七夕だから、イベントやるつもりなんだね」
「新しい業務フローを議論してるけど、決め方をどうするのかな」

そんな心配をしながら、どうにもできないので忘れたフリ。

フリだったのに、からり吹き抜ける風に気を取られて忘れてしまう。

翌朝、思い出したように見てみると何かが話された痕跡が残るばかり。

「ふうむ、やっぱり現場で勝手に自己組織化するんだな」と思う。

他人を心配しても損ばかりとなってくれば、次に思うは自身のこと。

「経営するものとしてごく当たり前のことをできていたのだろうか。絶えず『何をすべきで、何をすべきでないか』と問えていただろうか」と。

ひやり冷ました頭をふたたび稼働させるよう、意を決して照りつける都会に戻るのなら、手始めにそれからやらねば始まりもせず、でしょうに。

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