少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2022.08.08
久しぶりに会った友人に「どうやって経営してるの?」と聞かれました。
起業する前は自分もどうやって経営するのか謎でしたが、今なら分かります。
「ウソみたいに聞こえるだろうけど、カンに頼るしかないね。
あれもこれもまずやる。
本に書いてあること、人に言われたこと、専門内外は関係ない。
周りを巻き込んでみる。
普段やらないこともやる。
結果がでる。
ああ、だいぶ失敗したと思う。
すぐに思いついて、またやる。
これは、少しの失敗だなと。
じゃあとスピードを上げて、再現性を考えてやってみる。
視点を変えるから、また違う失敗になる。
いろんな失敗を、あらゆる失敗で塗りつぶす。
失敗してもペースは変えず、ずっと動かしていく。
山にのぼり、谷をくだれば、霧が晴れるように問題が消えていく。
そしたらまた夢のようなテーマを追いかけて
カンを頼りにどこまでもって感じ」
と答えました。
そしてさらなる質問。
「ブログから楽しそうな雰囲気が伝わってくるけど、人を採用するって大変じゃないの?」
これはよく勘違いされるので回答が用意してあって
「大変だから、すごくシビアに考えてカッツリやってる。
ゆとりとか、ゆったりした経営は一切目指してない。
結果的にそう見えやすいけど違う。
情報の密度を高くしてるから緩急をつけないと、みんなつかれちゃう。
リラックスしてるときだけを切り取ると誤解されやすいんだ。
多くの貨物がいくつもの線路に走っていて
それらをリズムよくつなげるために、楽しんでる」
と。
「へえ、そっか、やっぱ大変なとこあるよな」と話は終わりました。
帰り道、少しホッとした自分を見つけて、そういえば果てしなく続く職業だったなと思い出しました。
2022.08.01
一口にデザインといっても、モノによって違うのでいつも議論が盛り上がります。
これまで手がけてきたものはポスター、ディスプレイ、アプリ、ウェブ、マグカップ、カレンダー、展示ブース、ゲーム、ムービー、ファッション、リノベとたくさんあります。
ポスターなら「パッと見で心を鷲づかみにする」ことが大事だから、外食のような濃い味付けに。
ディスプレイなら「歩く人の感覚に乗っかった景色を見せたい」から、季節感を取り入れて。
ゲームなら「エンディングに至る盛り上がりを感じてほしい」から、タメを作ってと。
中でもやはり、ウェブデザインが一番厄介かもしれません。
他の媒体と違い、いつどこからどんな利用者がくるか読みづらいためです。
ブラウザやOS、デバイスによってズレがあり、いきなり他言語から接触してくるかもしれないし、なによりトップページから順番に見てくれず、しょっちゅう商品の説明ページからダイレクトに入ってきます。
それも検索結果からきたり、ソーシャルメディア、メール、ブックマークからだったりとバラついています。
取り扱う情報によってページを遷移させた方がいいのか、スクロールだけで情報を読み込ませた方がいいのか、アニメーションさせた方がいいのか、と表現を使い分けねばなりません。
あっちも、こっちも、そっちもと方図なく考えが広がっていきます。
ですが広がりきってしまえば、あとはハラハラと散り、静かに積み重なっていくもの。
何度来ても飽きないように、視線をうまく誘導できるように、間違えても気がつけるように、質感を心地よく感じられるように、定期的にメンテナンスしやすいように、情報が増えても破綻しないように、プログラムを組み込みやすいように、地味にならず遊び心があるようにと。
複雑にからみあいながらできていくものがシンプルに見えてきたら、それは最高の瞬間になります。
2022.07.25
松風の抜ける海の家でかき氷をほおばって、夜空に手持ち花火をかざしたら、夏休み気分に突入しました。
中学生でもないのに、今でも暑い夏はダラダラと好きなことだけして過ごしています。
もちろん仕事も選り好みして、好きなことしかしないようにします。
来週にはオフィスに大きくて甘いスイカが届きますから、氷水で冷やしてみんなで楽しく食べることでしょう。
次第に涼しくなり、秋口にはやる気がでてくるものです。
そしたらまたがんばったらいいのかなと。
2022.07.19
とっちらかっていて整理しようとするとき、いろいろ考えます。
ラベルをつけてカテゴリ分けしたり、経験に従って必要なものだけに絞ったり、データをとって法則を見つけたり、進化系統のようなツリー状にまとめたり、近しい要素を取り出してメタファーで表現したり。
生活空間のように物理的な制限があればそれで事足りるのですが、人にとって無限に近しい情報なら話は違ってきます。
15世紀から始まる大航海時代はまさにそのような混沌とした状況で、新大陸からもたらされた莫大な情報は新しい着眼点となったようです。
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ルネサンス 情報革命の時代
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480074744/
ルネサンス期の記憶術が目指したのは、情報をいわば「トポグラフィカル」に統御することであった。つまり、個々の情報が置かれた位置・場所が、全体構造のなかでしかるべき意味を持つことで、個と全体の関係が直感的に把握可能となるようなシステムこそが、理想とされたのだ。
略
けれどもこのように知を固定配置しながら管理していく方法は、やがて情報の無限増大という現実に対処できなくなっていく。
略
むしろ発想を逆にして、世界像とは観察者が、観察できた範囲の経験から構築してゆくもの、という考えが主流となる。
略
あるキーワードに沿って、何万、何十万というカードを検索し、必要なもののみを抜き出し、組み合わせることによって、その都度、一回限りの、意味のある知のリンクないしは情報の束が抜き出されることになる。
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その場で、一回限りの意味のある知恵を取り出す。
会社を経営したり、ITサービスを作ったりする面白さは、こんな形で情報の折りたたみ方を探究できるところだったりします。
2022.07.11
ITでシステムを作るには、一般的な手順があります。
要求仕様、要件定義、ユーザーインターフェイス設計、データベース設計、画面ワイヤー制作、インフラ構築、HTMLモックアップ、コーディング、画面組み込み開発、単体テストとか。
ごく当たり前のプロセスであって、疑いようがありません。
個人的にはこれだけだと退屈に思うので、演出というパートを入れます。
同じく会社で仕事をするには、一般的な方法があります。
資料作成、会議、議事録、報告/連絡/相談、スケジュール管理、タスクリスト、目標設定と進捗確認、コミュニケーション、リスク対策、リーダーシップやフォロワーシップとか。
そのままやってもいいのですが、同じく演出という名目で組み直します。
じゃあ、演出とはなんだ?という話になるので言葉にすると「効率の視点では意味がないけど、みんなが楽しい気持ちになれるから、まあいいや」という定義です。
Mogicにはその状態を表す言葉があり、まじめとふまじめの間として「おふざけ」と呼ばれています。
入社した当初はまじめすぎて、慣れてくるとふまじめすぎて、1年ぐらい経つと自然と良いおふざけになりますから、文化のなせるワザなのでしょう。
2022.07.04
化学用語に共鳴構造というのがあって、それをヒントに組織を作れないかと考えたことがありました。
共鳴構造とは、ある分子において原子同士の位置は変わらずに電子の位置だけ変化することでより安定する状態を指したものです。
ちょっと難しい表現になっていますが、以下を引用します。
1つの化合物について物理、化学的に想定される化学構造式が複数ある場合、それらの構造を重ね合せた状態を仮定して、分子は各構造の間で共鳴しているという。
略
分子はいくつかの構造の間を共鳴することによって、共鳴しないと考えた場合よりもエネルギーが低下する。すなわち分子が安定化する。
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チームを分子、人を原子、リーダーシップを電子と例えたときに、いつも誰かがリーダーシップをとるのではなくて、局面に応じてリーダーシップがチーム内で移動することで、いろんなストレスに対して弾力性が高まるのではないかというアイデアです。
しかしながら、ここで出てくる疑問は「人の間でリーダーシップが移動するなら、誰がそのリーダーシップの移動を決めるのか」ということ。
この回答は分子を見ればわかるように、原子同士が話し合っているわけでも誰かが決定しているわけでもなく、原子の特性と組み合わせがそうさせているので、それを参考に設計すればいいのではないかと。
Mogicらしい組織とは何かと議論していると、ひょんなところから発想をはぐくむタネが運ばれてきます。
2022.06.27
「自分を認めてもらいたければ、他人の存在を認めることです」
額から汗がしたたり落ちる坂道で、そのフレーズを思い出しました。
最初に聞いたのは学生の頃でしょうか。
今でもそれは難しいことだと感じます。
たいていは他人より優れていることで、自分の優劣を見定める場面が多いからでしょう。
テストでいい点を取り、偏差値で自分の位置を確認する。
部活でレギュラーになり、活躍して自分の居場所を見つける。
SNSで目立つ写真をのせて、フォロワーで自分の存在を感じる。
会社で分かりやすい実績を残して、出世して自分の価値を上げていく。
起業して良い業績をアピールし、キラキラした自分の姿をアップしていく。
これらは他人との比較の果てに自分を定めるのですから、最初から異なる世界を切りとる他人は認められません。
このフレーズが伝えたいことはおそらく、競争では得られない充足感が存在するということ。
他人を理解し慮らなければ、辿り着けないものがあることでしょう。
ぐっと汗を拭い、照り返すアスファルトにうんざりして仰ぎみる入道雲はオフィスの上に伸びています。
2022.06.20
人が二つのことを同時にできないということは、二重課題干渉の実験で知られています。
一つのプロセスが他のプロセスに干渉してしまい、ミスや遅延が発生するというものです。
資料を作りながら、別の電話にも出るというのは至難の業でしょう。
ところが残念なことに、会社という場所はいろんな仕事が次々にやってくるものです。
一つずつ順番がついていればいいのですが、たいていは何かをしていたら、別の何かが割り込んできます。
Aプロジェクトのアイデアを考えていたら、Cプロジェクトの進捗で相談を受けたり、今月中に健康診断を受けなさいといわれたり、打ち合わせ後にメールやチャットがたんまり溜まっていたり。
現時点で優先順位をつけても半日後には変わってしまうかもしれません。
では、どうするのがいいのか?
アイデアとしてはいくつか思い浮かびます。
プロセスの中にも干渉しやすいものとそうでないものがあるだろうから、しにくいもの同士で同時にこなす。
優先順位をきっちりつけると変化に弱くなるから、ゆるい優先順位をつける。
ガッツリ集中すると別のことが割り込んできた時にイライラするから、やんわり集中する。
どれがいいのかはさっぱり分かりませんが、とかく現代の会社は頭が忙しいことだけは確かです。