少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2021.11.22
ショパンコンクールのドキュメンタリ番組を見ていてどうしても気になることがあって、少し調べていたら興味深い記事があったので先に引用します。
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https://ontomo-mag.com/article/interview/chopin-piano-competition01/
偉大な音楽家の演奏へのアクセスが容易になったことは、若い演奏家にとって、一般に受け入れられるため、手っ取り早くものごとを進めてしまえないかという、大きな誘惑となっているでしょう。
核心にたどりつくため、作曲家の人生や作品を幅広く探究するかわりに、すでに存在する解釈を利用しようとする。
近道を使って成功を手に入れようと考えてしまうわけです。
短期間で喝采を得ようとするこのデスパレートな欲求は、多くの若い解釈者を、平均的、予測可能、標準的なものにしてしまいます。
その演奏は個性を持たず、記憶に長く残ることも、感情に触れることもありません。
私はこれを、「受け売りの解釈(second-hand interpretation)」と呼んでいます。
真に敏感で音楽に興味があるアーティストは、他人の録音を聴くことを避け、作曲家の書いたものと、そこから生じる自分の感情、精神的な反応にインスピレーションを求めるものです。
中略
個性のうち先天的なのは、一部です。
人生経験により、誰もが個性を育むことができますが、加えて、ほかの偉大な芸術家の経験から吸収したり、本を読んだり、美術館を訪れたり、いい映画を観たりすることで、さらに発展させることができるでしょう。
多くの若者は“完璧な”演奏に忙しく、それが芸術において、あくまで肉体的な要素でしかないことを忘れています。
精神的部分に割く時間がないのです。そのため、ほかの録音を真似ることに手を出してしまうわけです……。
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何が気になっていたかというと、感性が重要なテーマでアウトプットをどう評価しえるのかということでした。
別の記事では、解釈力、構成力、想像力、表現力で総合的に評価するともありました。
そもそもショパンの楽曲のみ使って演奏を組み立てるという制限のあるテーマです。
もしここに現在の人工知能AIを投下すれば、審査員ごとの好みの分析、過去に評価された楽曲の構成、演奏方法などから最適なものを弾き出すでしょう。
それはどう評価されるのでしょうか。それを聴いてみたいかと問われれば、個人的にはあまり興味は湧きません。
慣れていないせいなのか、それとも何かが足りないと思うからなのか。
ここらへんがサービスやプロダクトをつくっていくものとして大切なところなんだと思っています。
2021.11.15
ここ数年でさらにMogicの業務は増え、使うものが増え、やることが増えました。
それに伴って、役員の努力だけで社内をチェックするのが限界になっているんじゃないかと疑っていました。
そこで1年前から社内で何人かを集めて、リスク監査委員会をはじめました。
月1回ほど集まり、考えうるリスクを洗い出して、その対処方針を作ります。
その時ばかりは性悪説にスタンスを切り替え、万が一よこしまな気持ちが生まれてもできないようにするにはどういう仕組みがいいのかを議論します。
そうして多くのシステムやツール、業務フローで情報の管理レベルが設定され、改善されたと思っています。
しかしなぜかそれでは足りない気がして、今年は会計事務所や法律事務所などの外部から監査をしてもらうことにしました。
結果として分かったことは、大枠は抑えられているけど割合の少ないもの(費用でいえば全体の数%)に目配せが足りなくなっているということでした。
割合は少ないものの、そこで発生するリスクがどういう連鎖をするか分からないので誰かがチェックすべきでしょう。
そうして、細かな費用も組織的にチェックするフローが作られました。
みんなが楽しくやっていくには、地道なメンテナンスが欠かせないものです。
2021.11.09
Mogicには社内の教育を専門に行うベーシックエデュケーションという部門があります。
ベーシックという名称から分かるように、基礎体力作りを手伝っています。
新しく入ったパートやインターンから新入社員まで、ITをからめた業務や自分で考えることに不慣れな人をサポートしています。
ひとりひとり個性が違い、経歴も状況も違いますから、まずはヒアリングや参与観察、状況分析から。
そうして徐々に課題が分かってきたら、過去にうまくいったワークショップやグループワークなどを組み合わせて提供していきます。
時にはまったく新しいメソッドを開発します。
その昔にはコーヒー焙煎やお菓子づくりというグループワーク研修もありました。
ただ注意すべきは適切な関与で、あまりに一方的すぎても回数が多すぎてもダメです。
あくまでMogicというフィールドで自分らしく仕事をやれるようにたまに支えているだけなんです。
部門内の教育担当だと情が入りすぎるかもしれないし、人事部だと評価に紐付きすぎるかと考えて利害関係ない別部門にしてあります。
かれこれ2年以上、毎週ベーシックエデュケーション担当と話していますが、不思議なことに議論が尽きることはありません。
2021.11.01
子会社3社の新しいオフィスが上石神井に決まったのでいろいろ手伝っています。
石神井公園のオフィスと似てデザイナーズ仕様で広めのテラスがついていて、今だと白い富士山がドーンと目に入ってきます。
6階なのでさすがに緑はないのですが、フロア用にたくさんの植物をプレゼントする予定です。
冷蔵庫から掃除機、机や椅子、フライパンやフォークなどあらゆるものを揃えなければなりません。
ずっと昔にMogicとしてはじめてオフィスを開いた頃を思い出します。
まっさらで始めて、自分たちらしく作り込んでいくのは本当に楽しいものです。
2021.10.25
期待値とは確率用語で、Wikiより定義をもってきますと「確率変数のすべての値に確率の重みをつけた加重平均」といった難しい表現になります。
ざっくりいえば、何度かやったらこんな答えに収束するんじゃないかと予測するものです。
会社を運営していくことは、将来の段取りをつけることと近しいのでよく使います。
最近のMogicでは組織化が進み、権限が分散化されたことで、役職者がお金やリソースにまつわることを多く扱うようになりました。
これまでかかっていた費用とか、他社でも使っていそうな費用は期待値を計算しやすいものです。
ところが一番難しくなってくるのが「今まで費用をかけたことがなく、他でも聞いたことがないものにどう投資するか」ということです。
期待値を算出しようにも過去データがないのでどうしようもありません。
Wikiの定義の続きにも似たような記述があります。
「期待値が意味をもつのは、同じような事象が比較的均等に起こる場合である。非常に極端な値をとる事象がごくまれに起こり得るというような場合は、期待値の概念にはなじまない。例えば、「保険」や「宝くじ」では高額の保険金や当選金が得られる機会はごく稀なので期待値は負の値になるが、そのことをもって、保険に入ることや宝くじの購入が無意味であると判断するのは、適当ではない」
そんな時に登場させているのが「期待感」です。
この投資をして誰がどうワクワクするか、明るい顔で楽しそうに話をするか、そんな基準です。
あまりに曖昧だと使いづらいので少しは数式化するのですが、それでも最後は話を聞いた人たちの顔を見ています。
期待値が予想できないものこそ、みんなが楽しそうですから不思議なものです。
2021.10.19
株式会社でいつか必ず考えねばならないテーマに「資本と経営の分離」というものがあります。
いつか、と書いたのは資本を出した人が経営をし続けたとしても引退の際には整理が必要だからです。
自分のお金で会社を興して(資本と経営が同一)、軌道にのったら誰かに社長を任せるのもありますし、上場して不特定多数の人に株を持ってもらうこともあります。
資本と経営が一体化している時は、働く人のイメージが湧きやすいものです。
社長だけがどこか遠くにいるわけでなく、たいていは従業員と一緒に働いているからです。
しかし株主が不特定多数になれば、誰がどう働いているかは関係ありません。
他の誰かから見た、透明度の高い数字とガバナンスが第一の優先事項になりますから、おそらく一体化していた時とは違う雰囲気になるでしょう。
組織を束ねる論理が変わるから自然なことです。
このようなことは株式会社では当たり前のように感じますが、家族に置き換えるとどうなんだろうと考えてみました。
普通はお父さんとお母さんが稼いだお金すべてが家族の資本であり、それをどう使うかが経営といえるでしょう。
ところが、家族の資本のうち半分以上を不特定多数の誰かが出資していたらどうなるか。
お金を使う時に「なにやら使いにくさ」を感じるものです。
使い込みすぎてリターンが少なければ、お父さん役、お母さん役を解任させられて誰かが送り込まれるかもしれません。
3ヶ月ごとに目標が掲げられ、到達しない場合は説明が必要で、場合によって家族から去ることになるやもしれません。
そういう風に考えていくと、「資本比率による権利(役割)の移動」は日常生活では考えない発明なんだなと思い知らされます。
2021.10.11
ごくありふれた、当たり前だと思うものに新しい意味を見つけること。
誰かによって書かれた文章の脇に、自分なりの注釈をつけていくこと。
こういったことを、会社経営に対して実践してきました。
会社で行われる教育はビジネスで役立つスキルであるべき、順調な階段状のキャリアを登るべき、個人主義で評価されるべき、業績はずっと真っ直ぐに伸びるべき、意思決定はトップダウンがいい、サービスは1点集中がいい、スピード重視で間違えばピボットすればいい、先行する他社を模倣すればいいとか。
こういった通説に少しでもモヤモヤを感じれば、一つ一つ解きほぐしてきました。
「その考えじゃなくて、この考えの方がいいよ」と発言するより、アクションした方が早いとおもって、まずはトライして発信してきたことが今のMogicらしさとなりました。
最近では、情報発信だけじゃなくて課題解決にも挑む編集手法をソリューション・ジャーナリズムと呼ぶらしく、以下を引用します。
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新世代エディターズファイル
http://www.bnn.co.jp/books/10871/
元ジャーナリストで「ブルックリン・ブルワリー」の共同創業者であるスティーブ・ヒンディは、記事を書くことよりホップや麦の割合を合わせることに喜びを感じ、通信社を退社し同社を創業したという。
「メディア人材=コンテンツ制作者」が自ら描いたストーリーの登場人物になる。
そんな時代が到来したのである。こうしたあり方は、近年注目を集める「ソリューション・ジャーナリズム」にも近い。
さながら、良質なノンフィクションをイメージし、それを現実のものとしてしまう手法である。
編集とはいわば、ストーリーを生み出すクリエイティブディレクション能力を表す言葉である。
コンテンツがどのように読まれ、どのような効果をもたらし、どんなストーリーが生まれるかまでを考える仕事だ。
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誰かが言ってましたが、意味は無制限に生成できるので当面困ることはなさそうです。
2021.10.04
Mogicは9月末が決算月だったので、今週から新しい期が始まりました。
設立当初から前の年度にいろいろあったとしても、新しいスタートにはパーっとやっています。
社内メンバーでパーっとご馳走やスイーツを食べたり、オモシロそうなイベントを開催したり。
ちょうどハロウィンなのでオフィスあちこちに飾り付けたり、ドローンを飛ばして撮影したり。
スタートはいつでも前のめりに踏み出していきます。