少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。
2021.06.09
コロナ禍であっても昼休みの様子を見ていると、相変わらず好きなことをやってるなあというのが感想です。
Switchでオンラインゲームをやるグループだったり、アイスを食べている人だったり、会話を楽しんでいる人だったり、本を読んでいる人だったり、DIYで机を作っている人だったり、屋上でタープをはっている人だったり。
当然、コロナ感染対策のルールは徹底しつつ。
時短の人も多いので帰る時間はバラバラで、定時に帰る人もいれば、少し残業する人もいます。
最近は忙しくなりましたよといわれますが、数年前までは昼ごはんの遠征に2時間かけたり、夕方に公園で野球とかしてましたから、それに比べれば忙しく感じるのでしょう。
1年前に入社した社員に会社の印象を聞いてみると
「仕事に関係ない本がたくさん、かつ更新される」
「仕事じゃないことに時間も労力もお金もかける」
「インテリアがよくかわる」
「時間にルーズ」
「役職者がみんなだいたい同じ方向を向いている」
「みんなで帰る」
「こばなし文化」
「社内メディアというか歴史というか記録が多い」
と、たくさん挙げてくれました。
どう受け止めるべきかは考えつつ、やっぱり10年前から雰囲気は変わってなさそうです。
2021.06.02
毎週、執行役員とチーフという管理職だけで執行役員会という会議を行っています。
役員はまったく参加せず、あくまで現場の責任者だけです。
実はこの会議に対して、こういうフォーマットでこう進めてくれといったことはありません。
たまに会社全体のフローや意識を変えた方がいいかなというお題を投げたりするぐらい。
それ以外に定型のアジェンダもなく、どうも彼らでこの時間に何を話すべきかから話しているようです。
会社に人が増えてきたり、社会情勢が急に変化してくると、今までうまくいったやり方が急に通用しなくなります。
そういうものをいち早く現場レベルのチームワークでクリアしてくれるといいなと思ったりしますが、そこらも彼らの感覚まかせです。
後日、役員も集まる経営会議で彼らの話したことをチラリと聞いたりすると、何かが伝わってきます。
謎が謎をよぶ推理小説のように、一見つながっていない出来事には「隠れた原因」があるんじゃないかとか(以下、引用します)。
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脳はこうして学ぶ
https://www.morikita.co.jp/books/book/3513
スコットランドヤードのグレゴリー警部が「他に私が注意しておいた方がいいところはありますか」と尋ねる。
ホームズ ー 夜にあった犬の奇妙な一件ですよ。
グレゴリー ー 犬は夜、何もしませんでしたよ。
ホームズ ー そこが奇妙なところなんです。
シャーロックは、犬が部外者を見つければ、吠えていただろうと推理した。
実際には吠えなかったということは、犯人は部外者ではなく、なじみの人物だったにちがいない……
この推理で、名探偵は探索の幅を狭め、その後真犯人の正体を暴くことになる。
「それが学習とどう関係するのか」と思われるかもしれないが、要は学習もホームズがしているような推理なのだ。
学習とはつまるところ、現象を支配するいちばんもっともと思えるモデルを導くために、その隠れた原因をつきとめるということだ。
しかし現実の世界では、観察しても真か偽かがはっきりすることはめったになく、不確定で確率論的なことしかいえない。
そこにこそベイズ師やラプラス侯爵の業績の根本がかかわってくる。
ベイズ理論は、確率でどう推理するか、データが真か偽かについて完全ではなく、確率論であるときに、どんな論理式を適用しなければならないかを教える。
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みんながいつもと違う、ゆらぎを感じとれていれば大丈夫だと思っています。
2021.05.25
子会社の新しいオフィスのために、物件を探しています。
Mogicのオフィスと近い方がよさそうということで、石神井近辺で探すのですが、なぜかピンとくるものがありません。
物件を眺めながら思うことは、こういう時にこそ心の奥に潜んでいるイメージがスーッと浮かびあがってくるんだなあということです。
ドアのノブが丸すぎるとか、どうしても物件の名前がフィットしないとか、部屋の雰囲気はいいけど窓が少ないとか、廊下のオブジェが違うとか、いろいろ気になる点を列挙していけば、反対の視点から求めているものにフォーカスがあたってきます。
結果として僕らが求めていたものは、斬新さ、見晴らしの良さ、緑の多さでした。
一般的にオフィスといえば、交通の便だったり、ブランドのある地名だったり、広さだったり、IT設備が求められますが、違いました。
思い返せば、Mogicの過去のオフィスはいずれもデザイナーズ物件で、みんなから「カッコイイけど冬は寒く、夏は暑い」と呼ばれるものばかりです。
過去と同じ基準で選ぶと知見(=寒くて暑い)がたまっている分、周囲からは反対されそうですが、うまくやりたいものです。
2021.05.17
「将来にむけて、どういうビジョンや戦略を考えていますか?」といわれて、はたと困ることがあります。
こうなったらいいなという方向はあるものの、プレゼン資料にまとめることもなければ、発表会をすることもないからです。
方向性はざっくりと「21世紀の半ばごろに役立てるように、まず教育にアプローチ」だったり、「はたらく人が自分の仕事に充実感を持つ」だったり、「関わる人に希望を持ってもらえるようにする」とか、たくさんあります。
それ以上に細かいものはありませんから、話すことがないのです。
一般的には、KPIとか戦略、戦術、ミッションとか、ビジョンが必要とされますが、なくていいかなあとここまでやってきました。
組織がそこまで大きくないから、それでもいいんだよという意見もあるでしょう。
しかしながら、組織が小さくても揉めたり、うまくいかないときはうまくいかなくなりますから、少し違う気もしています。
そんなモヤモヤにしっくりくる文章があったので引用します。
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数学する身体
https://www.shinchosha.co.jp/book/339651/
人間が人工物を設計するときには、あらかじめどこまでがリソースでどこからがノイズかをはっきり決めるものである。
この回路の例でいえば、一つ一つの論理ブロックは問題解決のためのリソースだが、電磁的な漏れや磁束はノイズとして、極力排除するようにするだろう。
だが、それはあくまで設計者の視点である。
設計者のいない、ボトムアップの進化の過程では、使えるものは、見境なくなんでも使われる。
結果として、リソースは身体や環境に散らばり、ノイズとの区別が曖昧になる。
どこまでが問題解決をしている主体で、どこからがその環境なのかということが、判然としないまま雑じりあう。
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もう一つよく質問されて困ることがあります。
「どうして年齢や国籍が違うダイバーシティというか、多様性を目指されたのですか?」です。
答えは「目指したんじゃないんだけど」なのですが、さすがにガッカリされそうなので、少しだけ格好をつけた返答をします。
石神井という場所で心地よく参加してくれる人を募ってきたら、こうなってしまった、であって設計通りではなく、適応の結果なんです。
ある時点で立てた戦略が時間とともに無効化されるを眺めているのか、戦略を正当化するためにノイズを排除するのか、それとも戦略を小刻みに変え続ける戦略なのか。
どうにも自分一人で抱えるには大きすぎて、多彩な情報があちこちに流れているので、うまく「戦略」を作れないようです。
2021.05.12
20代で働いていたころ、周囲から「30代半ばになるとプレイヤーとして現場で活躍するのは限界だからマネジメントの練習をはじめないとな」と言われてきました。
なんとなく腑に落ちなくて、本当にそうなのかなあと思いながら、30代で新しい分野の会社を立ち上げ、現場でも働いて40代になった頃、世の中では人生100年時代といわれるようになっていました。
人生100年時代のベースにあるのは、ずっと学びつづけて、新しい可能性を模索して、長く働くということかと思います。
その点からいけば、現実問題としての異分野への参入障壁はさておいて、途中に何度でも新しい業種や職種、現場にもマネジメントにもチャレンジしてもいいということになります。
実際、もし35歳からマネジメントだけに専念すれば、定年が70歳だとすると35年もマネージャでありつづけるので、個人的にはなかなか窮屈だなと。
一方で、「ずっと学びつづけて、新しい分野に挑戦しつづける」のはちょっと重荷に感じるかもしれません。
そんなにトライばかりが人生じゃありませんよ、という人もいるでしょう。
ですから、インターン生にも伝えているオススメが一つがあります。
とりあえず1日1つだけ新しいことをはじめて、1年後にその記録を振り返ってみるのです。
毎日に少しのうるおいが出ますから、やってみるのは悪くはありません。
大それたことをする必要なくて、コンビニで食べたことのないスイーツを買ってみるもよし、左手でフォークをつかってみるもよし、新しいサービスを使ってみるもよし、使ったことのない言葉を口にしてみるもよし。
それでも1年分だと、365個のリストができてきます。
そうしてから、今一度考えてみてはどうでしょう。
365個もリストがあれば、何か1つぐらいは新しいことへのスタート地点になるものです。
2021.05.06
持続的な社会に必要とされる3つのRとして、リデュース・リユース・リサイクルがあります。
ゴミになりそうなものをはじめから減らすリデュース、同じものを何度も使うリユース、回収して新たに素材を作るリサイクル。
目に見えるモノでは考えやすいのですが、目に見えない資産ではどうなるのでしょう。
会社において目に見えない資産で代表的なものは、ブランドやサービス、ノウハウやチームワーク、マネジメントやカルチャーがあります。
まずは「これらにどうムダが発生しているのか」を判断しないと動けませんから、そこを考えていきます。
ムダになったブランドやサービス、ムダに感じるノウハウやチームワーク、ムダをうむマネジメントやカルチャー。
Mogicでいえばシンプルで「はたらく人や関わる人が満足しやすいものかどうか」で、ムダかムダじゃないかが決まってきます。
はたらく人が仕事をして満足感を得られないようなサービスはやめて、効率的だけどはたらく人が成長できないようなノウハウは持たず、関わる人が首をかしげるマネジメントは必要ありません。
かつて有効だったけど今では貢献できなくなった例として、オフィスでのイベント運営があります。
コロナ禍でみんなが集まって楽しさを共有したイベントはなくなり、オンラインチャットと動画配信を軸とした新しい表現にうまれかわりました。
あとは過去に出したサービスでも将来性が見えなくなったら解体して、その知見を次のサービスに組み込んだりしてきました。
提供サービスをやめるのも一つの方法だといえます。
持続的であるということは静的にも感じられますが、絶えず自分たちの仕事に価値があるかを見直すという意味でダイナミックなものなのでしょう。
2021.04.26
エンジニアが作ってくれた採用応募ツールが便利なので、ちょこちょこ見ていたら年間500人ペースで面接があることに気がつきました。
この石神井の変な会社にそんなに応募があるなんて……と自分でも驚きます。
コロナ禍でほとんどの面接がオンラインになり、より多くの人と会えるようになったからでしょう。
オンライン面接、オンライン商談、オンライン飲み会、オンライン修学旅行、オンライン授業、オンライン留学。
たった1年で「オンライン風のもの」が増えました。
当然以前と比較すれば、それでも物足りないところがあり、直接会えないこと、好きな場所にいくことが制限されています。
しかし、100年前なら「情報すらないか、情報が届くのが遅い」状態でしょうから、少しはマシな気がしています。
IT技術をビジネスに使う者として、次に何か起きた時に何ができるかを考えるキッカケになりました。
人が所属する組織構造と組織内の伝達方法が100年前からさほど変わっていないケースだと、情報経路がオープンで莫大な量になっていると組織自体が軋んで悲鳴をあげかねないと。
太古の昔から飢餓には強かった身体が、急に飽食の時代に入り新しい問題を抱えてしまったようなものです。
組織は情報の集合体ともいえますので、組織外を含めた情報の流れ方が変われば、それに適応した組織作りが必要です。
でも、組織は前の人から脈々と何かを引き継ぎますから慣性の力の方が強く、突発的なことでもなければ変わる潮目にはならないでしょう。
だからこそ、どうすべきなのか?
とても難しい課題ですぐには答えがでなさそうなので、凪いでいる平時にしっかりメンバーと話し合っておきたいと思います。
2021.04.19
交差点で青信号を待ちながら、もし30秒以上前に戻り、角を曲がる前に赤信号で止まることになると分かっていたら自転車のスピードを落としていただろうかと考えていました。
待つと分かっていたら、急がずにゆっくり漕いでいたでしょう。
カーブミラーでもあれば多少先の様子は分かったでしょうが、未来の状態を知る手段がなければ現在持っている情報で行動を最適化します。
近い未来どこか目的地に向かう場合に、機械が経路の未来ステータスを把握してくれていれば、アシストでずっと青信号のまま到着できるように思います。
やがて買い物も、料理も、掃除も、家計簿も、投資も、副業も、動画投稿も予測されて最適化が進めば進むほど、生活がアルゴリズムに近づいていきます。
事前に予想された膨大な分岐から最適な答えが選ばれることで、どんどんスムーズさは増してきます。
ただしアルゴリズムは万能ではなくて、現状に最適化しすぎるでしょうから外部の状況が変化したときにアップデートされなければ致命傷になります。
赤信号と青信号の切り替え時間が変更されたことを知らずにアシストを受けているようなものです。
そこでアルゴリズムによって便利になった生活をしながら、アルゴリズムの土台となる部分が変化していないか気を配る必要がでてきます。
さらにアルゴリズムがこっそり悪意のあるものに変更されていないかと注意を払うことも大切です。
誰かの良かれが、自分の悪かれになってしまう場合だってあります。
再びペダルに足を乗せつつ、別に青信号ばかりの生き方じゃなくて、たまに赤信号で止まるのもありだよなあと。