Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2021.03.22

石神井にオフィスがある理由

早いもので石神井にオフィスができて、もう10年が経ちました。

最近、面接で「なぜ石神井にオフィスがあるのですか?」とよく聞かれるようなので、その理由を書いてみます。

たくさんあって、口頭だと説明が難しいというのもあります。

石神井にオフィスがある理由とは

・緑が多くてゆったりとした時間が流れている場所だったから

・東日本大震災があり、みんなの自宅とオフィスが近い方がいいと思ったから

・石神井にIT企業がほとんどなく、ほどなく石神井ナンバーワンIT企業と言えそうだったから

・比較する他企業がなく、あくせくしなさそうだから

・都心にオフィスを構えるのがあまりに「常識」で、その常識を疑ってみたかったから

・20年後を考えると、都心だけがオフィスじゃない気がしたから

・地域の方々と連携して何か一緒に活動をしてみたかったから

・はたらく人が増えたら、地域の飲食店への貢献ができそうだったから

・都心にくらべてオフィス坪単価が安く、浮いた分を福利厚生に回したかったから

・通勤電車に揺られなくてもよかったから

・最初のころよく石神井のファミレスで打ち合わせをしていたから

常識的なじゃないことをするには、それなりの根拠をいろんな角度から考える必要がありますね。

これだけの理由だとまだ「なぜ思いきって地方じゃダメなんですか?」とも言われる余地がありますので、そこに答えますと

・ITをふんだんに使う企業はどうしてもウェブエンジニアやデザイナー、ディレクター、プランナーの力が大切になるため、集積の経済の観点で最初から地方に拠点を置くことは得策ではなかった。将来的にはありうるけれど、最初のステップは東京の力をかりるべきだと考えた

となります。

そして、都心の良さ=ITらしさを経験している人たちがいる点と、地方の良さ=スペースや時間に余裕のある暮らしがしやすい点を天秤にかけて都心から17km付近がベターなんだろうという判断になりました。

まあ考えすぎな気もしますが、結果的に振りかえると予想外に楽しいことがたくさんありました。

そして子会社もいろいろできてきましたので、新しい展開のアイデアを練らないといけなそうです。

2021.03.16

インフォデミックとニュース砂漠

コロナによるパンデミックで、ネット上にも大量の情報が押し寄せてきました。

その現象はインフォメーション(情報)のエピデミック(伝染病)=インフォデミックと呼ばれています。

総務省にインフォデミック調査の興味深いページがあります。

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新型コロナウイルス感染症をめぐる情報流通の現状
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd123100.html

デロイトトーマツコンサルティング(2020)の試算によれば、世界の情報伝達力は2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時から68倍に拡大しているという。
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そして計算方法にも依存はしていますが、デトロイトトーマツの調査報告のタイトルが「1世紀で150万倍に増大した情報伝達力~ 情報の急速な伝染「インフォデミック」とは」です。特にコンテンツの情報量とコンテンツ数が大きな影響を及ぼしているようです。

氾濫する情報がある一方で、ニュース砂漠という問題もあります。

これはアメリカの地方新聞社がネットメディアの興隆でどんどんなくなってしまい、地域住民に必要なニュースが発信されなくなった現象を指しています。

情報が氾濫するインフォデミックと、ローカルなニュースが枯渇するニュース砂漠。

もし人間の認識力が1世紀で150万倍になればいいのですが、さほど変わっていないことを考えると「膨れあがる情報と干あがる情報」にどう対処していけばいいものでしょうか。

少なくとも小学校から「情報の調理実習(インフォクッキング)」という科目でもあったらいいのかなと。

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参考情報:文部科学省 情報教育の推進
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1369613.htm
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2021.03.08

ボトルメール Message in a bottle

今ではもう「代表」と呼ばれるばかりで、インターン生や新卒社員に直接教える機会はほとんどなくなりました。

入社して1ヶ月後に1回あるかないかです。

執行役員やチーフたちがしっかりフォローアップしてるので出る幕がありません。

それはそれでいいことなのですが、少しのさびしさもあり、Mogicで働く人だけが読めるコラムサイトを作るようになりました。

社会人としての基礎知識から、就活の悩み、20代で考えること、人生の3大費用のこと、Mogicができるまでの話、社員に求めるスタンスなど雑多にたくさんあります。全部あわせると200本ぐらいでしょう。

Mogicの雰囲気はちょっと変わっているので、「なぜこんなにイベントや教育があるんだろう?」と疑問が湧いた時に見てくれることを願っています。

未来にやってくるだろうメンバーに向けてコラムを書くこと自体、何とも不思議な気分になります。

ですが、昔の人が小瓶に手紙をいれて海に流したボトルメールのように、今日のちょっとした高揚感も一緒に届けばいいかなと思っています。

2021.02.22

リズムの合わせかた

パソコンの中心にはCPUという集積回路があり、そこでいろいろな計算をします。

それ以外に一時的に記憶を保存するメモリ、長期的に大量のデータを保管するハードディスク、外部接続端子があり、複雑に連携しています。

連携には秘密があり、それがリズムです。

電気信号を利用して大量の処理を同時に行いますから、それぞれのパートがズレてしまうとまったく意味をなしません。

電子回路には「振動子」というリズムメーカーがあり、正確で高速なリズムを刻みます。

クオーツという単語を聞いた人は多いと思いますが、クオーツは日本語にするとそのまま石英(水晶)で薄くカットして電圧をかけると振動します。

それを応用して作ったリズムを使っていたりします。


リズムは人間の動作にも大きく関わっていて、先日読んだ論文には脳の海馬という記憶に関する部分は4〜8Hzのリズムを刻んでいるとありました。

脳も視覚や聴覚など機能ごとに分かれたパートを連動させるのにリズムが重要のようです。

ただし、パソコンのように集中的に管理しているのか、機能局在を活かして分散的に合わせているかは議論が分かれている模様。


そんなリズムのことを思いながら、会社を機能させるリズムはどうあるべきなんだろうと考えています。

Mogicはこれまで数値目標やロードマップを掲げたことがなく、各自やチームがそれぞれのタイミングでアイデアを持ちかけて、フィードバックをもらって、パッと集まって、サッといなくなりますから、離散的なリズムといえるでしょうか

2021.02.04

春の屋上はお休みです

Mogicのオフィスにはちょっと広めの屋上があって、たまにひなたぼっこしたり、昼寝したり、コーヒーを焙煎したり、木材の加工をしたりしていますが、一番おすすめなのが夕暮れどきです。

日が沈むとうっすら富士山が浮かびあがり、背後ではスカイツリーやビルの光が映えてきます。

もう少し暗くなってくるとギリギリ一等星が見えてきて、今だと牡牛座のアルデバラン、こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、あとは火星や土星がゆらゆらと輝いています。

立春を過ぎて暖かくなってくると、杉の花粉がやってきますから、そろそろ屋上は休業になりそうです。

次は階段に小さな本棚を作って、セレクトブックコーナーが始まるでしょう。

1年を通じて、オフィスのあらゆる場所で小さな楽しみを見つけて、みんなと共有する。そんなMogicらしさが今日もはじまります。

2021.01.25

ホームランと素振り

その昔にニューヨークでバリバリ活躍されている弁護士さんと話したことがあります。

数十億、数百億円の契約をどんどんまとめているような人で、颯爽としていかにもスマートな感じでした。

いろいろ話している中で、不意にシンプルな質問をしてみました。

Q:どうしたらあなたのようにビッグなディール(取引)をうまく決められるようになりますか?

いま思い出すとあまりに素朴すぎますが、彼はちょっと考えてから答えてくれました。

A:メジャーでホームラン打つ人、華々しいですよね。

彼がそこでホームランを打つためには、メジャーの試合にたくさん出ることが必要で、その前にマイナーでホームラン打ったりしないとダメですね。

さらにマイナーで試合に出るために、練習中にもホームランを打っていて、自宅でも素振りしてます。

何十万回と素振りをして、考えて、小さな結果を出して積み重ねて、いつか運がよければメジャーの試合で3割以下の確率で打てるんです。

あなたは取引の素振りをしていますか?

私は、りんごを買う時、駐車場を契約する時、すべてのタイミングで取引をトライしています。

日常生活で小さな素振りをしてます。

小さな素振りですから、結果を気にしなくてどんどんやっていきます。

そうして小さなコツをつかんで、少しずつ大きな契約をしていくんです。

つまり、ビッグなディールは小さな取引の膨大な積み重ねですから、毎日小さな駆け引きでトレーニングしてみてください。


これを聞いて、さすがだなあと思いました。

曖昧な質問に対して、要点をしぼりこみ、例をだして分かりやすく説明できること。

これも取引の中で培われた技術なんでしょう。

それ以降、何か身につけたいことがあると素振りをしてきました。

1日のうち、小さくても何度もトライできれば、忘れたころにうまくなってたりしますから。

2021.01.07

プロジェクト・ドリブン・トレーニング

Mogicは、さまざまな教育理論から少しばかり知恵を拝借して社内トレーニングを展開してきました。

最もよく使われるものがプロジェクト学習で、大きなものから小さなものまで同時にたくさん稼働しています。

プロジェクト学習とは、複数人が集まって、テーマからゴールを決めて、期間内にいろいろやりくりして成果を出し、あちこちからフィードバックを受けるというものです。

これを一度でもやると、仕事が自分のモノになるようでチームワークが自然とできてきます。

ただしプロジェクトのメンバー以外のサポート役は、かなりの技術が必要で「メンバーに必ず成果を出しきらせる」ために、観察力やアドバイス力、先読み力、忍耐力が求められます。

プロジェクトが途中まで進んでメンバーの心が折れていないか、意義を見失っていないか、やりきれない気持ちになっていないか。

そして、サポート役が手を出してはメンバーにとって意味がないので、的確なタイミングで最適なアドバイスをしなければなりません。

意外にもサポート役のマネジメント感がすごく伸びたりします。

本当にたくさんのプロジェクトを動かしてきましたが、今まで一度も頓挫しなかったのが自分たちの誇りでもあります。

最後にジョン・デューイ著書の訳者(市村尚久)あとがきより
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経験と教育
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151271

教師が教科の指導に当たって、すでに基礎づけられた知識や方法に従うやり方より、生徒の経験のなかに教材を発見することのほうが、どんなにか困難な問題であるか、デューイは繰り返し指摘している。

同時に、その「困難な問題」を解決する実行可能な方途が示唆されているが、その論理を辿り理解することに知的努力が求められることも示唆されている。

そのような知的努力もまた、われわれ教育現場の教師に求められているのである。
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2020.12.21

ふだんは誰もこの盲点に気がつかない

どうやら人間の目には難しい構造があるようで、盲点があります。

いつも絶えず二つの目で補完し、脳で画像処理しているため、それ自身を意識することはありません。

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人体なんでそうなった?
https://www.kagakudojin.co.jp/book/b457283.html

いびつな自然のデザインとしてもっとも有名な例は、魚類から哺乳類まで全脊椎動物が持っている網膜だ。

脊椎動物の網膜の光受容細胞は後ろ向きになっている。

つまり、ワイヤ部分が光のほうに向いていて、集光器たる光受容器は光に背を向け、内側に向いているのだ。

中略

面白いことにタコやイカなどの頭足類の網膜は反転していない。

中略

ヒトの目には、語るに値するいびつなデザインがもう一つある。

網膜のちょうど真ん中にある視神経乳頭という構造だ。

視神経乳頭は、網膜の表面に位置し、光受容細胞がない小さな円を作っている。

これによって、目にはそれぞれ「盲点」ができる。ふだんは誰もこの盲点に気がつかない。
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盲点はあるのに、ないように感じている。

このメッセージはチームワークや新規事業でとても大事なチェックポイントになります。

人間は完璧ではありませんし、どんなに優れた人でも穴があります。

ただ、どうしてもプロジェクトを進めるとなるとメンバーが固定されて、誰かの意見が強くなり、あたかも常に正解のように感じられることがあります。

周囲が違和感を感じたら、ちょっとでもいいので光を当ててみることにしてはどうかなと。

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