Mogicはかんがえる

少人数+ソフトウェア+サーバやロボットの組み合わせで
新しい時代の会社経営を進めています。
そのプロセスの一部をこのコーナーでお伝えできればと思っています。

代表取締役 山根陽一

2024.01.29

2009年Mogicの旅

Mogicモジックという社名は設立当時よく間違えられていて「Magicマジックさん」はあるある、かなり遠めで「文字組みさん」「文字校正さん」といわれたこともあります。

さいわい最近はほとんど間違われなくなりましたが、逆になぜMogicという社名にしたのかを話す機会がなくなってしまいましたので、ここに書いておこうと思います。

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会社を作った時は一人でしたから、社名を考えるにも自問自答するしかありません。

まず思ったのは、会社は人。

どんなにITをバリバリやっても最後は人。

だからいろんな人が集まった時にどんな風に思えると素敵かなと。

「この場でいい出会いがあったなあ」と思えると申し分ないですね。

じゃあ、どんなのがいい出会いっていえるんだろう?

弾けるような笑いがあって、一人じゃできないことがパッと目の前に現れたらいいし。

そう、SF作家アーサー・C・クラークがいってたな。

「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」と。

だから、そうしようと閃きました。

「人と人が出会って素晴らしい化学反応を起こし、十分に発達したITを駆使して成し遂げられた成果は魔法と見分けがつかない」んじゃないかと。

作り話のように聞こえるかもですが、本当にアルキメデス風に湯船に浸かっていて思いついたんです。

少し短縮してベースのフレーズは「人と人をつないで、知恵を分かち合い、魔法のように成し遂げる」にしよう。

さらに、それを社名まで凝縮するにはどうすればいいか?

うん、人と人という漢字を二つくっつけるとMに見えるね。

次いで、つなげるってのは◯で表現しよう。

魔法は、Magicだ。

だから、M+O+Magic=Mogic。

モジック、変な響きかもしれないけど、覚えてもらえそうだからこれで!

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そんな流れでした。

だから、会社のスタイルとして個人技より「共に成長し、チームワークを重視する」のは当然です。

そして、途中でインターン生がつけてくれた「Creativity Beyond Imagination」というキャッチフレーズ。

自分一人の想像を超える、みんなの個性を重ね合わせた創造という意味でこれもマッチしているのです。

2009年に会社として飛び出して、みんなであちこち旅をしてきました。

過ぎ去る日々に「いい出会いでした」と聞くことが増えれば、星空はるか湯船に浮かぶ自分からすればうれしいばかりです。

2024.01.22

たかが、されど、そうして

とある料理研究家のレシピに感動してエッセイを読んでいたら、思いもかけず鍋やフライパンの手入れをしたくなりました。

まずは一番大変そうなやつ、ちょっとくびれて小さなミルクパンから。

外の焦げを大まかに削りとり、粗めのやすりをかけて、布で磨いて仕上げていきます。

はぁと息をかけて拭うと、使い込まれた道具は鈍くしっとり輝きはじめました。

不思議なもので、じぃと眺めるとまた料理がしたくなります。

慣れ親しんだ道具だからこそ、きちんと手を入れておく大切さ。

これはビジネスでも通じるように思います。

例えば、ごく簡単にメールを書くということ。

キーボードやマウスの操作、辞書に登録された固有用語、できるだけ誤解を減らす書き方、主語/動詞/目的語の明示、コピペのミスを防ぐ方法、メールの往復を最小化する流れ、相手が選びやすい選択肢の提示、見やすいように入れる区切り文字、抽象単語と固有名詞の配分、相手が返しやすい送信のタイミング、送信前のセルフチェック、迷惑メールフォルダに入る可能性の考慮、セキュリティを意識したファイルのやりとり。

一つずつ磨きこんでいれば、自分の思うように使えますから。

たかがメール、されどメール、そうしてメール、見なおして悪いことは一つもありません。

2024.01.15

ベストじゃないプロセス

いつもベストなプロセスで進められればいいのですが、必ずしもそうではありません。

むしろベストの方が少ないんじゃないか、と考えれば日頃からトレーニングの仕方が変わります。

ITサービスを作るにあたり、プロジェクトを立ち上げます。

メンバーを集め、お金を算段し、アイデアを出し、市場を調査し、スケジュールを立て、モチベーションを上げ、要件にまとめ、デザインを描き、コーディングして、インフラを構築し、システムを設計して、プログラムを書き、データを流し込んで、テストをしたのち、不具合を修正し、プレスリリースをまとめ、メディアに出てから、ユーザーが使い始める。

簡単に書いてこのステップ数ですから、すんなりいく方が珍しいでしょう。

さらにメンバーのスキルが違い、コミュニケーションの方法が違い、得意分野が違い、これまでの経験が違い、抱えている仕事量が違い、これまで生きてきた環境が違い、重視している価値観が違い、年代や性別が違い、楽しく感じることが違います。

いわずもがな、バラけている方が普通です。

ならばと、普通であるはずのベスト“じゃない”プロセスにどんなものがあるかと想像してみるのです。

少し考えると、むしろその方が難しいと分かります。

なんといっても分岐していくパターン数が膨大になりますから、そこから思考が先に進みません。

でもそうすると、ベストじゃないプロセス自体を想定できませんからトレーニングができないことになります。

ベストなプロセスを目指すために、ベストじゃないプロセスへの対応力をつけたくても、ベストじゃないプロセス自体を思い描けないということ。

このジレンマをどう克服すべきなのか?

そもそもあらかじめ人のスキルや経験を標準的に選抜し、プロセスに共通ルールを適用することでブレを最小化するという解決策もあるでしょう。

ですが、本当はベストなプロセスなんて存在しないという感性を共有し、目の前に立ち上がる不完全さにチーム全員が足を止め、納得するまで膝をつけ合わせる時間が重要なトレーニングになるんだろうと思っています。

2024.01.09

当たり前をスローモーションで

ゆっくりと時間のある時にこれまで知らない分野を覗いているですが、最新の化学領域に目をやるとアト秒、つまり10のマイナス18乗秒という単位で新たな測定が始まっていると聞いて驚くばかりです。

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アト秒科学で波動関数をみる ※括弧内の秒数は分かりやすく追記
日本化学会 (編)、 新倉 弘倫(著)
https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10039911.html

それぞれの時間領域には、それぞれ特徴的に起こる現象がある。

物質に光を当てたときに生じるりん光の寿命は、マイクロ秒(100万分の1秒)の領域である。

同様に物質に光を当てたときに生じる蛍光の寿命は、ナノ秒(10億分の1秒)からピコ秒(1兆分の1秒)の領域である。

分子の振動波束運動や分子中の原始の組み換えを伴う化学反応は、フェムト秒(fs:1000兆分の1秒)の領域で起こる。

アト秒(as:100京分の1)時間では、分子の構造変化が起こるよりも速い時間で、電子ダイナミクスを測定することができる。
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ここまで微小な時間単位とはいわず、日常生活でも設定された時間の枠によって見えるものが違ってきます。

高速道路を飛ばして流れていく景色とぶらぶらと道草して感じられる風情。

せかせかと急いで向かう通勤路とふっと夕ご飯の支度が感じられる帰り道。

達成したくジリジリ焦る気持ちとありがたさにしみじみと感謝する心持ち。

ということで、今年は一つ、当たり前だと思っていた仕事をいろんなスローモーションで捉え直してみようかと思い立ちました。

スローにすればこれまで見逃してきた大事なことを見つけられるかもなあ、とまで書いてから、ああ、すでにこの前置きこそ、年始のご挨拶としては長く間をとりすぎました。

気をとりなおして、今年のMogicは15周年イベントが盛りだくさんです。

みなさまに楽しんでいただけるよう、準備をはじめています。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2023.12.25

静かに仕事を納めていく

年末はインフルエンザや風邪が流行っていて、静かに仕事を納めていくモードになりました。

緊急連絡網はアップデートしたかな、戸締りし忘れそうなところ分かってるよね、元旦のメール配信は事前にテストするんだろうなあ、仕事始めの準備もしないとね。

いつもと違う流れだからこそ、見落とさないようにしっかりチェックしたいものです。

立場柄、うん、そうですね、そうこう言ってはみるものの、このゆったりした空気感も捨て難く。

ズザザザとシュレッダーに書類を入れたらあと1週間で来年だなんて、信じられないなと思っています。

2023.12.18

仕事は有限にしかこなせない

たまに仕事のスピードを劇的に上げたいという人がいて、「じゃあ、もし今の2倍になったらどうするの」と話しかけます。

「単純に2倍の量をこなします」という人もいれば、「浮いた時間でやりたいことをやります」「新しいスキルのために勉強します」という人もいます。

であれば「びっくりすることに、4倍になっちゃったらどうする」と聞いてみます。

4倍にできれば今の仕事時間が25%まで圧縮されますから、ほぼ別次元の話に見えるでしょう。

「すごく理想的ですね」といわれそうですが、遅かれ早かれ次は仕事の量が4倍以上に増える気がしています。

ありえることとして

自分が早く仕上げた分、誰かに渡した仕事が早まって戻ってくる可能性

または

あの人は仕事ができるからと、次から次へと仕事が回されてくる可能性

または

周囲の人がやり方を真似ていき、会社全体の仕事量が増えてくる可能性。

つまり、作業スピードの上昇はさらなる仕事量の増加を持たらすという仮説がありえます。

もう一度スピードを上げても、同じことがくり返される。

もしそうなら、スピードの早い遅いに関わらず仕事量はいつも無限に見えるという地点にたどりつきます。

個人の時間と健康は有限なのに、会社の仕事量は絶えず無限に思える。

気がつくと、あらゆる期限と達成度ばかり気にしている。

その思考が行きつく先はどこなのでしょうか。

不明瞭なら、理不尽さを感じます。

ですから、実はスピードの上がらない自分に落胆するんじゃなく「仕事を有限にしかこなせず、今のスピード以上に上げられない自分は何をすべきか」が課題なんじゃないかと思ったり。

2023.12.11

焙煎した豆をグリグリと挽く

オフィスにつくと、はじめにコーヒーの生豆を焙煎しています。

奥にあるキッチンからパチパチと勢いよくはぜる音に、カカオをすり鉢で練りつぶすような香ばしい匂い。

昔は金物のかご網でぎこちなく炒っていたのに、今では自動の焙煎機が迷いなくやってくれます。

もうすぐ生豆がなくなりそうだったので、今回頼んだのはブラジルのエスプレッソレディーとインドネシアのマンデリン・グランレイナ、それにオリジナルのクリスマスブレンド。

いつも通り気軽にワン・クリックで注文、されど届くまでに本当はとんでもなく長い道のりなんだろうと想像しながら。

そう、はるか遠い大地でコーヒーチェリーと呼ばれる赤い実は瑞々しい果肉を取り除かれ、熱帯の強い日差しに干されてから丈夫な麻袋にずっしりと詰め込まれると、コンテナを運ぶ船便で揺られ続けて数ヶ月、彼の地で丹念にピッキングされグラム単位の小袋となって、最後に決められた日時の正しい場所にたどりつく。

一本の細くて長いロープを、一人一人の見える現実で綱渡りしている感じ。

今はそんな時代なんだと踏ん切りをつけて、1週間前に焙煎した豆をグリグリと挽いてみんなのコーヒーを作っているとやらねばならないことを思い出しました。

近くにスペシャルティコーヒーのお店ができるんだから、早々にご挨拶にいかないと。

それもそうだし、いつもお世話になっているケーキ屋さん、中華料理屋さん、花屋さん、豆腐屋さん、弁護士さん、大家さん、歯医者さんに来年のカレンダーをお届けしないと、と。

思えば、本当に大事なことはいつも限られています。

とかく遠くばかり夢見がちなIT企業だからこそ、石神井というローカルで仲間と共にはたらくことがとても大切なのです。

2023.12.04

行く川の水面に善く知る

経営に関するロングインタビューを公開したのち、「戦略、目標、野望、ビジョン、ミッションの違いってなんなんでしょう?」と質問を受けたので少し考えてみました。

最近発売された本に近しい感触の文章を見つけたので引用してみます。

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戦略の要諦
リチャード・P・ルメルト(著)、村井 章子(訳)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/23/10/13/01057/

戦略の策定とは、単なる意思決定ではない。

意思決定の場合、とりうる行動の選択肢があらかじめリストアップされていて、その中から選ぶことが想定されているが、戦略を立てるときはそうではない。

まずは課題の特定から始まる。

また戦略策定と目標設定は違う。

戦略は組織が直面する課題から始まるのであって、先に最終到達地点としての目標を設定するのはあべこべである。

けっしてゴールから、つまり目標設定からスタートしてはならない。

いま何が問題なのかを理解することから始め、成否を決するポイントを見きわめることが戦略策定の王道である。
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個人的には、目標、野望、願望、ビジョン、ミッションはほとんど気にすることなく、戦略のあり方だけに集中すればいいのではと思っています。

戦略に他の要素が数珠つなぎに連なると予想しているからです。

では、戦略のあり方はどうするのか?

禅問答のようですが、行く川の水面に刻々とうつり変わる自分たちを善く知るが如くです。

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